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『いやだアロンさん、行っちゃやだよ!!。』


「ソラ、何だその顔は。俺は別に死ぬわけじゃねぇーんだ

      なぁに、落ち着いたらまたすぐにでも会えるさ

                 だから泣くな。」





                Justice
― 正義 ―







たくさんの血


     火薬


      そして人の焼ける臭い




助けを乞い


    泣き叫ぶ


       声にならぬ声





目が、鼻が、耳が いや、

五感の全てが不快なもので包まれる中

ふと思い出した頭の中の記憶だけが


優しく 暖かかった




この地獄のような景色の中
一瞬でもその記憶をたどったソラは自嘲の笑みをもらした。




『バカだなぁ・・・ もう戻れるわけないのに・・・。』




戻れないからこそ、なくしたからこそ

自分はここにいるというのに・・・


弱気になるな 


そう自分に言い聞かせるように小さくつぶやいた。






「お、おねがいだ、た、助けっ、助けてくれ!!。」





ヒステリックに叫ぶ男の声にソラは若干眉を寄せながら

少しの間そらしていた視線を戻し、男の首に当てている刀を止めた。




「おっ、俺には妻も子供もいるんだ!!
        た、大切な人達が!!。」




あまりにも惨めにそう命乞いをする男に

ソラは吐き気がした。


しかし、キレイな笑みを作り、男の耳元へ口を寄せた。





『バカだなぁ君は、

どんな人にも大切なモノの一つや二つあるものさ

それを承知で僕は刀を向けてるんだよ。

自分の大切なモノを守るためにね。』




『君だってそうだろ?』ソラのその言葉に、

男はさらに顔を青くした。





『君だって仮にも“曹長”だろ?
     人を殺したことが無いとは言わせないよ?。』




「たっ、たすけ・・・たすけて・・・。」




ヒューヒューと荒くなっていく男の息を
気に止めることもなく
ソラは続ける。




『今の君みたいに、
助けを乞う者の命を絶った事もあるんじゃない?
まったくの無実の罪の人を殺したことも・・・
“正義のタメに犠牲はつきもの”だとかキレイ事並べてさぁ。』



ソラが男の耳元から顔を離すと、

男は酷くおびえた表情で体を震わせていた。




「ソラ、中佐、なっ、何故っ」




『何故?そうだなぁ、しいて言うなら
君にとってのこの世界の全てが、君の家族や友人、
仲間だというように、僕にもあったんだよ。
        僕にとってのこの世界の全てが・・・。』




『もうとっくに無くなっちゃったんだけどね』そう
少し悲しそうにつぶやいてから

ソラは刀をかまえ直した。







『君達に“正義”があるように、
       僕にも“正義”ってモノがあるんだよ。』










『だからさぁ・・・。』


















― 僕の正義のために死んで? ―

























また一つ増えた死臭に、ソラは悲しげに笑みを作った。




『どうしてこうなったんだろうね・・・。』




そう、小さくつぶやき

もう他人のか自分のかも分からない
血がにじんだ体を引きずりながら

その場をあとにした。












――――







「くそぉっ!!やってくれたなぁ、あの小娘・・・。」





海軍本部、元帥であるセンゴクは 怒りに拳を震わせた。


「って〜ことは何?センゴクさん、
           ソラちゃんは10年前の・・・」



「あぁ・・・アロン、“アロン・ビーティー”と
               共にいた小娘だ・・・。」




センゴクのその言葉に、質問をした張本人である青キジ
クザンは顔をゆがめた。



「なんてこった・・・まさか生きてるとはなぁ・・・。」



「生きてなお、5年という歳月を経て
我々海軍と信頼関係を築き
そして今日、あの時の復讐をしたというのか・・・。」




センゴクは、今日の被害を耳にして怒りの治まらぬまま
デンデン虫に手をかけた。



《ハイ、コチラ海軍本部情報管理室。》



「私だ、センゴクだ。
“裏切り者”のソラ中佐の首に賞金をかける、
生死問わず、全世界指名手配の賞金首だ!!。」



《りょ、了解しましたっ!!》


















 

SORA

 












To be coutinued・・・


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