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なんとか犯人を追いかけ、たどり着いたのは廃ビル。


昔は多少大きな会社だったようだ。




『さてと、・・・どこから進入するべきか・・・』



本当に自分は厄介なことに首を突っ込んでしまったもんだと
今更ながらに思う。


犯人に見つからないよう、コソコソと浸入口を探していた時、










「あれ、お前こんなとこで何やってんの?。」




なんともまぁ、聞き覚えのある覇気のない声







『ぎ、銀さん・・・・』




とたんに俺はなんだかまずいものでも見られた気分になる。



「・・・つーか何そのボロボロのかっこ・・・
          いや、それはそれでそそるもんがあるけどよぉ」




『な、何ばかなこと言ってんすか・・・・』



今まで緊迫して、気を張り詰めていた俺は
気が一気にぬけるのが分かった。



まぁ、銀さんが俺の格好をボロボロと言ったが
それには少しわけがある。



犯人の足が速かったため、追いかけるのに
なれない下駄を履いていた俺はソレを脱ぎ捨て裸足で走っていた。


そのうえ、裾の長い着物を着ていては当然
早く走ることが出来なかったため



山崎さんに申し訳なさを感じつつも引き裂いてしまったのである。



「今一・・・っていうか全然状況が理解できねぇーんだけど?どういうこと?」



何で女物の着物着てんの?



何で裸足なの?



何でそんなボロボロなの?






つーか何でこんなとこいんの?






いきなりの質問攻めにさすがに俺もうろたえる。



何から話せばいいのやら・・・



『えーっと・・・斯々然々で・・・』



「いや、わかんねーよ」








め、めんどくさい!!!






『とりあえず!婦女誘拐事件の犯人がこの建物の中にいるんですよ』



すんげーざっくりと今の状況を伝える。



「婦女誘拐事件ってーと、最近ニュースのアレ?」



『そうですアレです。』





「なんで由良がそんなやつ追っかけてんの?」



『・・・・なんかもうそういう説明めんどくさいんで、
        後で話しますから、捕まえるの手伝ってくださいよ・・・』



「んだよソレ!!俺なんにもわかんねぇーじゃん!!」




ていうか、


『なんで銀さんもこんなとこにいるんですか・・・?』


俺が万事屋をでるときはみんなでダラダラ仕事もなしにテレビを見ていたはず・・・




「あぁん?それがよぉ、猫探しの依頼が入ってなぁ・・・・」




心底めんどくさそうに頭を乱暴にかきながらそういう銀さんは
次の瞬間、目をカッと見開いた。




「あぁぁぁぁ!!!猫ォォォォォ!!」




銀さんの指差す方向には、ちょうど俺がどこから入ろうか迷っていた廃ビルの
開いていた一つの窓枠に猫が立っていた。



「おい!そこを動くんじゃねぇぞ・・・」



銀さんはそう、こちらをじっと見つめる猫に語りかけると
ゆっくりとにじり寄るように猫のほうへと向かう。



「フニャア!」



しかしまぁ、猫に人間の言葉が理解できるはずもなく。
猫はそのまま廃ビルの中に入っていった。





「だぁぁぁぁぁ!!クソ猫ォォォォ!!ちくしょう!
                どこから入ればいいんだよここ!!」



おぉ、これは


理由は違えども、この廃ビルに乗りまなければならないのは一緒のようだ。




『つーことで銀さん。手伝ってくださいよ。』




「じゃあーお前も俺の仕事手伝えよ!?」


交渉成立。


俺と銀さんはぎゅっと手を握り合った。






 


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bkm
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