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「あれ、まだ山崎のやろー帰ってきてねぇのかィ?。」



『よくもまぁ、人が着替えてんの知っててノックもなしに入って来ましたね・・・。』



ため息混じりに総悟にそうつぶやく。
着替え終わってたからいいものの・・・



まったくコイツは・・・






まぁ、話の内容から分かるように、俺も例の着物に着替え終わり
ほんの少し時間もたつのだが

山崎さんはまだ帰ってきていない。



「女物の着物着た由良が見たくなくて逃げたんじゃねぇの?」



『どういう意味ですか・・・。』


「そういう意味でさァ。」



少しの間にらみあってから
俺の方から視線をそらす。


小さくうなだれるように再びため息をついた。



『さっきと言ってること矛盾してません?・・・』




「俺ァ紅が似合うって言っただけで着物が似合うなんて一言もいってねぇだろィ。」








ひねくれてる・・・








その言葉は飲み込んだ。




「・・・・お前・・・・。」



完全に部屋に足を踏み入れてきた総悟は
俺の前まで歩いてくると目の前で座りこんだ。




『な、なんですか・・・・』




ただ無言で俺をじっと見つめてくる総悟に苦笑いを浮かべる。






なんとも居心地が悪すぎるのだ。
何を思ってそんなにも見てくるのか。


ただただ無言の総悟に少し気味の悪さを感じていると、








「色気がねぇ。」




と一言、ぽつりと漏らした。






いきなり何だ
と、若干口元を引きつらせながらも



『そっすか・・・・』



と短く返事を返した。





何を言ったら良いんだ・・・・


なんかすいません・・・・とか?


なんだかむなしくなって半笑いで総悟から視線をそらしていると、



クイッとあごを軽く持ち上げられ、一瞬にして目の前の総悟に視線を合わせられた。




『な・・・・ぁ・・・・!?』






いつも以上に近い顔に焦りながら意味もなく声を上げてしまった。





焦ったような俺の顔に総悟は気をよくしたのか、
にやりとニヒルな笑みをうかべると
こんどは耳元に口を寄せた。







「俺が女の色気ってやつを体に教え込んでやろうかィ?。」








『ちょっ・・・!?な、に・・・いって』


背筋がゾワリと泡立った。



耳に総悟の息がかかるたびにその感覚は大きくなる。



なんだ・・・・これ



言い知れぬ恥ずかしさと驚きで体温が上がるのが分かった




瞬間、耳をペロリとなめあげられる。



『ひ、ぁ!?』



驚きに今までにないくらい高い声が出た。



「すっげーギャップ、んな声でるんですねィ。」



また耳元でクスクスと笑う総悟。



やばい、顔から火が出そうなくらい恥ずかしい・・・


今更敬語使うし・・・




するとこんどは耳たぶをかるく噛まれる。




『ちょ・・・やめっ・・・』




「やっと面白くなってきたのに嫌にきまってんだろィ。」



さすがにヤバイ、なんか変だ・・・・
そう思って総悟の肩を押すもびくともしない。



力が、はいらん・・・・




「んな、ちっせェ抵抗されても逆にいじめたくなるんでねィ。」




また耳をペロリとなめ上げられる。



『や、ぁ・・・・』









なれない感覚


本気でやばい




ぎゅっと目をつぶって、
耳を噛んだりなめたり好き勝手にされるのをただじっと耐える。



『っ・・・ぁっ』




















「早瀬さーん遅くなってすいませ・・・・って!!!?」





次の瞬間、山崎さんの声が部屋に大きく響いた。






「なっ、なにしてんですか!!沖田隊長!!!?」


「チッ、」



総悟は小さく舌打ちをすると俺からそっと離れた。





ま、マジでやばかった。
山崎さんありがとうございます・・・


力が入らないのもあるが
なんとも恥ずかしすぎるのでそのままその場にうずくまる。


今は誰の顔も見れる気がしなかった。




あ、穴があったら入りたいとはまさにこのこと・・・・


「由良さん!大丈夫ですか!?」



バタバタと足音をたてて山崎さんは俺のそばまでやってくる。




『だ、大丈夫じゃない・・・です・・・・』




か細い声で精一杯だった。



顔が熱い。





山崎さんにお礼もいいたいし、総悟に殴り込んだりもしたいのに



顔を上げることができない。



「ちょっと沖田隊長ォォ!!なんてことしてるんですか!!」



「うるせぇなぁ・・・ちょっとはコイツにも色気がねぇと
           囮にもならねぇと思ったから教えてやったんだろィ。」



な、なんといういらんお世話



「だからってアレはないでしょォォォォ!?」



「ま、そろそろ土方のアンチキショーが来そうなんでこれで俺は失礼しまさァ。」


総悟はそういって立ち上がると
何事もなかったかのようにひょうひょうと部屋からでていった






せめて俺に詫びてからいけよ!!






すると、ドタドタト廊下から大きな足音が聞こえてくる




「山崎ィィィィ!!テメッ、なにデケェ声だしてんだコラ!!」




もちろん


土方十四郎、その人である。








「って、なにやってんだ・・・・お前・・・・。」






部屋の真ん中でうずくまる俺に、心配そうに背中を優しくたたく山崎さん
という、いささか奇妙な光景に土方さんは口元をひきつらせた。










いや、まじでそっとしておいてください・・・・











もしくはあなたの部下をつるし上げてください・・・・



いや、切実に・・・・






  


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bkm
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