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「あれ?由良さん今日はお登勢さんのところに行かなくていいんですか?。」



いつもの出て行く時間になっても、神楽や銀さんと同じく
テレビに視線を向けている俺に不思議に思ったらしい新八君。



『あぁ、今日はね。お登勢さんが休暇をくれたんだよ。たまには休みなってね。』



お登勢さんに少し申し訳なくも思いながら新八君の疑問に答える。



「なんかさぁ・・・前から思ってたんだけどよォ 
           ババァって由良に甘くね?差別じゃね?。」



鼻くそをほじりながら言う銀さんに新八君は呆れたように口を開く。



「由良さんはしっかりとするべきことしてますからね・・・
      ていうかお登勢さんは由良さんに甘いって言うより
              僕らに甘くないだけですからね・・・。」



「そらまぁ、毎月毎月家賃滞納してるアルからなァ〜。」



しみじみとつぶやく神楽に俺は苦笑いを浮かべる。



まぁ、それだけ滞納してて
追い出さないお登勢さんはある意味優しいよね・・・。



「まぁ、何にせよ。久々にゆっくりできてよかったじゃないですか。」



『ん。そうだね。、』



自分のことのように喜ぶ新八君に、少し気恥ずかしくなった俺は頬をかいた。



すると、




ジリリリリッ ジリリリリッ



と、電話が大きく音を鳴らした。



「んだぁ?こんな朝早くに・・・。」



「朝早くにって・・・もう十時ですよ・・・
       アンたらはさっき起きたかもしれないですけど
           普通の人はもうとっくに起きてますからね・・・。」


そうこう話しているうちにも電話は鳴り続ける。




「・・・・。」




ジリリリリッ ジリリリリッ




「・・・・・」





どうやら誰も電話に出るつもりはさらさら無いらしい。
新八君は大きくため息をついた。




「ったく・・・なんで何時も僕が・・・。」




そう言って席を立とうとソファから腰を浮かした新八君に
俺は制止の声をかける。




『いいよ、俺がでる。』




すると新八君は少し驚いたように声をもらした。



「えっ、でも・・・。」




『いいって、俺のほうが近いし・・・。』




俺はソファから立ち上がると、今も鳴り続ける電話の受話器へと手を伸ばした。



『ハイ、万事屋銀ちゃんですけど・・・。』







・・・・








へんじがない・・・・










『あの・・・「囮捜査の囮をお願いしたいんですけど。」・・・・』




俺は受話器の向こうから聞こえてくる、おそらく男の声に若干首をかしげる・・・
囮捜査って・・・なにすんのいったい・・・。


怪しげなその依頼内容に 心の中でそっと突っ込む。



「それからえっと、指名したいんですけどそれってできますかね?。」



その言葉に俺は一瞬みんなへと視線を向ける。
銀さんも神楽も新八君も
やることが無いのか暇そうにテレビに視線を向けている。



『あぁ、まぁできると思います・・・』



どうせみんなすること無いだろうし・・・



『お名前をいっていただければご指定の場所に向かわせますよ。』



経営者でもないのになんとも適当なことを言っている自分に
ここの住人の適当さが移ってしまったかもしれない・・・
と若干いいわけじみた思考をめぐらせる。




すると、受話器の向こうの声は「じゃあ――」













「早瀬 由良でお願いしまさァ。」













『・・・すいません新聞なら間に合ってます。』



「おい、電話切ろうとしてんじゃねぇぞ。
                今から十五分後に新撰組屯所に来なせェ。」



『すいません新聞なら「こねぇとテメェの恥ずかしい写真を
                ネットにばら撒いてやりまさァ」・・・。』












ウソダロ・・・・





受話器から聞こえるヤツの声に俺は頭を抱えたくなった。
いくら機械を通しての声でも、総悟の声に気づかないとは・・・・


しかし、よく考えてみろ。


どう考えても総語は俺の恥ずかしい写真などもっていないだろう。
俺自身恥ずかしいことをした記憶すらないのだ。


『はったりかまそうったってそうは行きませんよ・・・。』


少し強気な口調で言ってみる。
だって俺には心当たりがまるで無いからだ。




『残念ながら俺に恥ずかしい事をした記憶なんてないし・・・。』




「・・・まぁ、ねぇだろうねぇ〜合成写真だし。」








『ほら、無いじゃないです・・・・か・・・って・・・・アレ?・・・何?。』







ごっ






合成・・・・?





『なななななな何言ってんですか、
     そもそも総悟は俺の写真を一枚も持ってないから
            合成とかそう言うもんだいじゃなくて・・・。』



そうだ、ヤツは俺の写真すら持っていないはずだ・・・


もちつけ・・・じゃなくて・・・落ち着け。







「あれ?もう忘れたんですかィ?あの時撮った写真のこと・・・。」





何!?





しゃ、写真なんか撮られたことあったか?




いいや、無いはずだ・・・
はったりに決まってる!!





『なめてもらっちゃ困りますよ、
     俺は写真を撮られたことなんて・・・・アレ・・・・ある?。』



自信満々に口を開いたはずなのに
話の途中でふと思い浮かんだ光景・・・・










「パシャリ」







『ちょっ!!何とってるんですか!!』




「何って、お前の弱みにするにきまってんだろィ。」













『だぁぁぁぁぁぁぁああああ!!』



「っ!?何だ?。」




しまった


ものすごく思い当たることがある。



冷や汗が出てきて少し気持ち悪い。



今までテレビに視線を向けていたはずの三人は
いきなり大声をだした俺を怪訝そうに見つめる。


しかし、そんな視線を気にしている場合でもなかった。
受話器の向こうがわの総悟の静かな笑い声が嫌に耳に響く










ちくしょードSめ・・・・






 


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