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《昨夜、江戸 かぶき町で女性が誘拐されました。 

婦女誘拐は今月に入って3回目となっているため、

警察は連続的な同じ人物の犯行と見て捜査を進めています。》



《えー続いてのニュースは攘夷 ―》









「クソッ!。」





男はテレビの電源を切り、リモコンを乱暴に投げつけた。



「・・・おい、トシ。焦るのは分かるが少し落ち着け。」


「ちっ、俺ァいつでも落ちついてるよ近藤さん。」



そうは言っても、不機嫌そうに刻まれた眉間のしわは取れることなく
土方の感情は火をみるように明らかだった。


胸ポケットからタバコを取り出す土方を見て
近藤は困った表情を浮かべ、小さくため息をついた。


「近藤さん。今の土方さんに何言っても無駄でさァ。」



「総悟・・・。」



近藤は視線を声の主へと向け、つぶやいた。



「なんてったって、犯罪者に好き勝手やられて、
         ましてや今月に入って三度目の犯行
       真撰組は何をやってるんだってマスコミは大騒ぎでさァ。」



涼しげな顔をして口を開く沖田に、土方は眉間のしわをさらに濃くした。



「こうも奴らの手口が読めんとわなぁ・・・。」



「そんならいっそ、おとり捜査でもやったらどうですかィ?。」



「バカヤロー、誰をおとりにするんだよ。
       俺たち真撰組にはヤローしかいねぇんだ・・・。」



土方のその言葉にどうしたものかと近藤は頭をかかえる。



「だったら近藤さん。姐さんにたのめませんかねィ。」




「何っ!?お妙さんをだと!?
   ダメダメお妙さんをそんな危険にさらすようなことはできません!!。」



沖田の提案に、近藤は激しく首をふる。


確かに正論ではあるのだが、彼の普段の行動のこともあり
沖田は少しあきれた表情を浮かべた。



「だが、今回のことは一刻を争う。
          おとり捜査を実行せねばいかんかも知れん・・・。」




「しかし、近藤さん。山崎のヤローにやらすにも
             アイツじゃ不気味な女になるだけだぞ・・・。」



「あぁ・・・しかし一般市民に助けを求めることもできん・・・。」


三人は少し、山崎の女装姿を思い浮かべ、その案を切り捨てた。



「万事屋の旦那になんとかしてもらうっていうのはどうですかィ?。」



「そうか!あの怪力チャイナ娘なら!。」



「いや、アイツはまだガキだ。
          たとえ囮にしても犯人の尻尾はつかまらねぇだろ。」




考えては消え、考えては消え、その繰り返しに三人は途方に暮れる。





「第一、いきなり囮を頼まれて、物応じない腕のある女・・・
            なんてつごうのいいやついねぇだろ・・・。」




土方のあきらめたようなそのつぶやきに
沖田は何かを思い出したように手を叩いた。




「おぉ、一人知ってますぜ。そんな都合のいい女。」




「何!?総悟本当か!?。」




近藤も土方も驚いたように
そして少しの期待を含めた表情で沖田をみつめる。




「なんなら今すぐにでも呼びましょうか?」




沖田は、携帯を手にニヤリと口角を上げた。







 


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bkm
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