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『・・・銀さん。』




俺の手を握ったまま、黙々と歩く銀さんに、声をかける。



「あ?。」




『・・・ごめんなさい。』



「・・・あぁ。」



少し不器用に返事を返す銀さんに俺は少し頬を緩めた。



ていうか・・・


『あの、俺の格好。店のまんまなんですけど・・・。』


そう、俺的に問題がひとつあった。
店で働いていたときのまんまの服。


紅色のたけの短い着物に カツラをかぶってキレイに結った髪の毛。
その格好で町を歩くのが




非常に"恥ずかしいのだ"



「いいじゃねぇーか別に、似合ってるぞー。」



『なっ、そんなこと・・・言われたって・・・恥ずかしいです・・・。』


予想外の銀さんの言葉に少しびっくりした俺は上ずった声を上げた。




『知り合いにでも会ったら・・・最悪ですよ・・・。』




「何言ってんだ、これから神楽や新八、
ババアにキャサリンにもお前が女だって言いに行くんだからいいじゃねぇーか。」



『えっ!?言っちゃうんですか!?』



俺は心底驚いたように目を見開く。



「当たり前だろ・・・お前が人を信用できるようになるための
                         ステップ1だからな。」


こころなしか楽しそうにそう言う銀さんに
俺はなんとも言えない表情をうかべる。


・・・・でも、本当にお登勢サン達にも俺が女だっていきなり言ったら
どうなるのだろうか?




銀さんみたいになんで嘘ついてた?っておこられるかも・・・



まぁ、未来なんて見ないから考えたってしょうがないけど・・・・
なるようになるだろうけど・・・・





あの人たちに嫌われるのは・・・ちょっと・・・嫌・・・かな・・・





そう、少し俺らしくない考えをめぐらせ、
銀さんに手を引かれたままうつむき加減にあるいていると








「あれ?土方さん、あそこにいるの旦那じゃないですかィ。」



「あぁ?なんでこんなところにアイツが・・・」






と、前方から聞き覚えのある声が若干2つ。



瞬時に俺は隠れるように銀さんの背中に回りしがみついた。



「おわっ、なんだよいきなり?。」



少し眉をよせて、顔だけこちらにむけた銀さんに俺は前を指差す。




「あぁ?前?。」




そして、俺の指差す方向に目を向けた銀さんは
何かを見つけたようで 若干顔が引きつった。







「旦那、きぐうですねィこんなところで。」


「ちっ、会いたくもねぇヤツに会っちまったぜ。」



「はははっ、大串くんに総一郎君。ホント 奇遇だね〜・・・。」




「誰が大串君だコラ!。」


「総一郎じゃなくて総悟でさァ。」




俺を見られては何か厄介なことになりそうな空気を感じ取ったのか
銀さんは俺を隠すように前にでた。








しかし、







「あれ、後ろに誰かいるんですかィ?。」




とまぁ、隠せるわけもなく。



総悟に銀さんの後ろを覗き込まれる。




あせった俺は何とかしようと
銀さんの背中に自分の顔を押し付けた。


これで顔は見られないはずだ。




なんとも間抜けな手段だ・・・




「・・・女?なんでィ、旦那の彼女ですかィ?。」


「まっ、まぁそんなところかな アハハハハ。」




少し、いや大分ぎこちない銀さんのもの言いに俺はため息をつきたくなる。


もう少し自然におねがいしますよ・・・





「・・・なんで顔見せないんだ?ソイツ・・・。」




この格好に怪しさを感じた土方さんは 怪訝そうに眉を寄せた。



「コイツ、ビビリだからさぁ、大串君の顔にビビッたんじゃねぇの?」


「だから、俺は大串君じゃねぇって何回言ったらわかんだテメェー!!」




「ほら、土方さんが瞳孔かっぴらいてるからですよ。怖がるのも無理ねぇーなァ〜」


「なんだと総悟テメッ!!」




じゃっかんヒートアップしてきた口論に俺は眉を寄せる。

早くこの二人から離れたい。




息苦しいのだ。




息苦しさにプルプルと震えていると、
総悟がある一点に目を向けたようで声をあげた。






「あれ・・・?。」






「どうした?総悟。」





「この腕輪・・・。」




そうつぶやかれた俺はビクリと肩を大きくゆらした。







し、しっしまったぁぁぁぁぁあああああ!!





この腕輪を見られては顔を見ずとも誰なのか一瞬でわかってしまう。





ヤッヤバイ!!




俺のあせりの原因を察したらしい銀さんもしまった という顔を浮かべる。


(そういやぁコイツの腕輪プレゼントしたのって・・・沖田くんだったなぁ・・・。)




その様子を見ていた総悟は何かを確信したように
ニヤリと、嫌な笑みを浮かべていたらしい。(いや、俺見えないからね?)









「なんでィ由良じゃねぇーか。」







 


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bkm
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