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『・・・・』








頬を、水が伝っていくのがわかった。




目からあふれ出て、止められそうにもなかった。








全部 銀さんの言うとおりだ。






また裏切られるのが怖くて。


信じることから逃げた。






俺を信じてくれていた人を俺は裏切った
自分を守るために、他人を平気で切り捨てた







『・ ・ ・ 俺、最低だ・ ・ ・。』








本当のことを言い当てられて、悲しくなんかないはずなのに
むしろ スッキリしたはずなのに・・・





涙が止まらなかった。





「・・・俺を信じろとは言わねぇーよ?
              ただ、お登勢のババァだけは、信じてやれ。」




そういって俺の頭に乗った銀さんの大きな手が、暖かくて、やさしくて


この人は、






この人は とても大きな人だと思った。














「はいは〜い、なんかお話も終わったみたいだし、由良君顔洗ってきなさい。」




パン パンと手を打ちながら、空気を換えるようにやってきたのは悦子さんだった。





『すいません・・・』





涙のおさまった顔で苦笑いをうかべる。



「本当よ〜でも、なんかドラマみたいで面白かったからいいわ。」





ドラマって・・・・




そう思いながらも、俺は顔を洗おうと、洗面所に向かおうとしたとき



「おい由良。お前まだこんな店で働くのか?。」



少し眉をよせ、けげんそうに銀さんが口をひらいた。



『まぁ、頼まれたことですし・・・。』



そういうと、銀さんはより、眉間にしわを寄せた。



「やめとけって、お前まだ19だろ?キャバクラ遊びは20になってからだって
                         銀さんがゆるしません。」



『いや、キャバクラ遊びじゃなくて働いてるんですけど・・・』



「なおさらだろ。はい、今日はもう帰りま〜す。」


『えっ、ちょっと!?。』




銀さんにいきなり手をつかまれ、引っ張られるように店の裏口へと歩いていく。





「・・・しかたがないわね。また他の子を探すわ。由良君。
         今日の分のバイト代後でお登勢さんに渡しとくから〜。」




悦子さんはそう言うと、心なしかニヤニヤしながら俺と銀さんに手を振った。




そんなに軽い感じでいいんですか・・・







   


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bkm
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