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今、俺にザクザクと刺さるのは 言わずもがな、銀さんの視線である。




必死に目線を合わせないようにし、どうするべきか、頭をフル回転させる。


しかし、所詮はパニクッっている人間が考えること
いくら頭を使おうとロクな答えが浮かばない。




『たっ、確かにお、じゃなくて私は由良ですけど・・・
            アナタの知りあいの由良さんじゃないですよ〜』



「じゃあ、なんでさっき俺に文句言った。」




確信をつくその質問に俺は内心頭をかかえる。



そして、苦し紛れに出た言い訳が・・・






『ほっ、ほら!同じ名前の人の駄目だししてたんで
          つい自分のことのように思っちゃったんですよ!!』



アハハハハッ!!と、ぎこちない笑みを浮かべて頭をかいたりしてみる。




しかし、こんなわけのわからない言い訳で乗り切れるわけもない・・・・








「ん〜まぁ、そういうこともあるか〜。」















・・・・ん?




アレ?






もしかしていけてる?






少し納得したようにうなずいている銀さんをみて
希望の光が見えてきたことに喜ぶ。



よし、これであやふやにしてしまおう!!




『そっ、そうですよ!!そんなこともあります!!。』




抑えられない笑みを浮かべながら、俺は力強く言い切る。






「そうだな、そんなことも・・・・あるかぁ!!。」



『うわあああああぁぁぁぁぁ!!!』




言いくるめられると思っていたのにまさかのノリツッコミ。



いきなりの大声に驚いた俺は、いつもより高めに出していた声を忘れて叫んだ。




「んなわけわかんねぇ言い訳で
            俺を言いくるめられるとでも思ったかコノヤロー!!」




すいません、めちゃくちゃ思ってました!!




「おい、どういうことか説明してもらおうか?由良君・・・
                        いや由良ちゃん?。」




肩を抱き寄せられ、間近にある銀さんの顔には青筋が立っている。


いつもより低い銀さんの声に俺はいっそう冷や汗を垂れ流す。



ヤバイ ヤバイ という俺のパニック状態をみかねてか、
遠くから見守っていたらしい悦子さんが
なんとなく状況を理解し、こっちにやってきた。




「由良君・・・話すなら店の奥使ってもいいわよ・・・。」




少し哀れみの視線を向けられ俺は泣きそうになった。




「あっ、すんませんじゃお言葉に甘えて使わしてもらいますぅ〜
                      ・・・おらいくぞ!!。」



『うぐっ』




俺は銀さんに腕を引かれ、無理やり立たされたかと思うと
首ねっこつかまれて 引きずられるように銀さんと店の奥へと向かう。











ヤバイ ヤバイ ヤバイ

やばい やばい やばい






頭の中では出来の悪い言い訳がいくつも量産されては消えていった。






 


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bkm
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