5

まさかの銀さんとの遭遇で、俺は内心もうあせりまくりだった。




だっ、大丈夫。俺だなんて絶対気づかないだろ・・・コレ。


俺も鏡みて誰?って思ったもん。




大丈夫だよねコレ。




大丈夫かコレ・・・・







意を決し、俺は銀さんのほうへと顔を向きなおした。




『由良です。』



そういって少々ぎこちなさの残る笑みを浮かべると、銀さんは少し眉を寄せた。




「由良・・・?。」





『えっ、えっと何か・・・?』



「いや、俺の知り合いにアンタと同じ名前のやつがいたから・・・・。」




しまった・・・偽名を使ったほうがよかったか!?
手汗でしっとりとした手をぎゅっと握り締めながらも、俺は笑みを浮かべる。




『ぐっ、偶然ですね!。』





「そうだな。まっ、俺の知り合いは男だけどさ。ちなみに俺は坂田 銀時ね。」




どうやらばれていないようだ。
焼酎を手に、少し笑いながら言う銀さんに
内心ほっとため息をつく。



というか、なんでこの人こんなところに来てんだ・・・



色々と言いたい事はあるのだが、今は言うことができるはずもなく
俺はさりげなさに気を使いながら口を開いた。



『わ、私、実は今日はじめてここで働いてるんですけど
          坂田さんはよくこの店にいらっしゃるんですか?。』



「んぁ?俺もこの店に来たのは今日がはじめてかな。」


銀さんはそういってなぜか少し苦笑いを浮かべる。



『じゃあ、どうして今日はここに?。』



さりげなく、自分の本当に聞きたかったことを自然に見えるように聞き出す。


しかし、銀さんは少しバツが悪そうに頬をかいた。



「いや〜実はさ、この店の子に言うのも何なんだけど・・・。」



いったい何なのだろうか?少し言葉を濁らせながら言う銀さんに首をかしげる。




「俺の知り合いのキャバクラで働いてるやつがいてさ
最近売り上げがよくないから他の店偵察してこいって言われちまって・・・。」




その話を聞いて俺はなるほど・・・と内心うなずく。
そりゃまぁ、確かにこの店の子に話す話じゃないですね。



しかし、それでも話した銀さんに、俺は少しおかしくなって自然と頬を緩ませた。




すると、隣から強烈に視線が強くなるのが分かった。




『・・・どうかしましたか?。』




食い入るように俺の顔を凝視する銀さんにまた少しあせりを感じる。




「あっ、いや・・・その・・・ねぇーちゃんの笑い方が
         さっき言ってた知り合いに似てたもんだから・・・。」




それを聞いて、早くもぼろを出しそうな俺は口元をじゃっかん引きつらせる。





神様どうか無事に終わりますように・・・





だなんて、普段しもしない神様にお願いなんてことを心の中でつぶやいた。




 


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bkm
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