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『えっと、改めまして早瀬 由良19です。ちなみに彼女はいません。
              まぁ一応がんばるんでよろしくお願いします。』






俺は、囲まれて揉みくちゃになっているところを
悦子さんに助けてもらい現在にいたり、質問全てに答えた。



「はい、じゃあ自己紹介も済んだことだし。早速由良君に
                     女装してもらおうかしら?。」




そして、悦子さんのその一言に固まる。




「あたしが着物選んだげる!!」


「じゃあ、私が化粧してあげる!!」


「あたしが髪いじる〜!。」




『えっ、ちょっまっ!!心の準備がまだ!!。』




そんな俺の必死の叫びもむなしく、女の人に引っつかまれて
ずるずると奥へと引きずられていく。








「ん〜・・由良君って紅色とか似合いそうだよね〜
            んじゃあコレかコレか・・・あぁ、コレもいいね。」



そう言って女の人、(ユリさんと言うらしい)が、三着の紅色の着物を取り出す。




「んー・・・どれがいい?。」




『いっ、いや俺に聞かれても・・・。』




俺はそう苦笑いを浮かべる。


が、内心顔は引きつっている
なぜなら・・・




『あの、なんかこうもっと丈の長いやつとかないんですか・・・。』




そう、着物の丈が短いから。
少し遠慮がちにそう尋ねるとユリさんは首をかしげる



「どうして〜可愛いじゃない!!。」



『いや、俺一応男なんで・・・』




しかし、ユリさんは引き下がろうとはしない。



「え〜いいじゃない。着て見てよ!!それで変だったら止めるから!!。」



変だったらって・・・何気に毒舌なのかこの人は。


俺は着物を楽しそうに選ぶユリさんを見ながら何とも言えない表情をうかべる。



「コレがいいんじゃない?」



「やっぱりそうだよね〜?よし、これだね。」




もう一人のひとのアドバイスで決まったらしいユリさんは俺の方へ振り返り
俺の今来ている着物に手を掛ける。





『ちょっ、何してんですか!!。』



危うく脱がされるところだった俺はビックリして素早くのけぞると
ユリさんに視線を向ける。



「何って・・・着替えるんでしょ?」



『じっ、自分で着れますって!!』



「女物の着物なのに着方わかるの?。」




『う"っ・・・』




そう言われ俺は言葉に詰まる。




『俺、あっ、姉がいたんで分かります。』




そして、出てきた言い訳を口にするとユリさんは不満げに口を尖らせた。




「んーアタシが着せたげたかったのになぁ〜。」




それに俺は苦笑いをうかべ、仕方が無く服を着替えるため、個室を借りた。
女ってばれたくないしね。



特にここの人達には・・・・






 


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bkm
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