3

やりたくない やりたくないと
いくら思っても、時間は無情にも過ぎていくわけで・・・




朝、俺は銀さんと神楽を起こさないように万事屋を出て
下のスナックお登勢の扉を開ける。




『・・・お、おはようございます。』




何故か少しどもりながら店に入ると
カウンターに立っているお登勢さんに笑われた。



「フフフッ、そんなに嫌なのかい?」



あたりまえですよ・・・



今まで男としてやってきたのに
          いきなり女に戻るようなことさせられるなんて・・・。



『お、お登勢さん。仕事のこと、絶対に銀さん達に言わないでくださいね!!』



「?。」



俺の少しばかり歪んだ顔を見て、お登勢さんは首をかしげる。



『あの人達に話したら、絶対に来るじゃないですか!!
   俺、女物の着物とか着てるとこ見られたら恥ずかしくて死ねます!!。』




なんとも真剣な表情でまくし立てると
お登勢さんは納得がいったというように口元に笑みを浮かべ
タバコを吹かした。




「分かったよ。いわないさ。」




『あと、ちょっと用事で帰り遅くなるんで
            昼・夕とご飯作れませんって言っといてください。』




「フフッ、『ちょっと用事』ねぇ・・・?。」





少し意地悪な笑みを浮かべるお登勢さんに俺は口元を引きつらせる。




『お登勢さん・・・・』





「分かってるよ、絶対に言わないよ。」





俺はたちの悪い冗談だ と苦笑いを浮かべた。


すると、





「おはようございます。」





と、透き通った女性の声が。





「由良君おはよう。今日一日よろしくね。」





それはまぁ言わずもがな
悦子さんなわけで・・・





『よろしくお願いします・・・。』





「ふふっ、そんなに気落ちしないで?報酬ははずむって言ったでしょ?。」




そして、「お登勢さん由良君借りてくわね。」と、軽い感じで店を出て行った。


店の外へ出ると、黒塗りのオシャレな車が一台止まっていた。





「さぁ、のって。」





悦子さんはそう言うと、運転席の扉を開いて車内へと入って行った。


俺は なんとも言えない表情でそれを見つめる。





「・・・まぁ、がんばりな。」





お登勢さんはそう一言いって俺の肩をポンポンと叩く。
それに俺は苦笑い気味で返し、助手席の扉を開き
悦子さんの車へと乗り込んだ。



俺がのったことを確認すると悦子さんはエンジンをかけ、スグに出発した。



車の後方に目をやると、スナックお登勢と
見送ってくれたお登勢さんがだんだんと小さくなっていくのが分かった。




















あぁなんか








売られていくみたいだ・・・





 


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bkm
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