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ガラガラガラ―・・・






「いらっしゃい」








PM:10:24








少しばかり騒がしい飲み屋。





『スナックお登勢』






そこに、一人の女性が足を運んだ。







「おや、あんたかい。久しぶりじゃないか。」






お登勢は女の顔をみると、少しばかり頬緩めてそう言った。



「ふふっ。そうね。」



女もまた、口元に綺麗な笑みを浮かべお登勢の前のカウンター席へと腰をおろした。





「ねぇ由良くん!お酒!!」

『は〜い。ちょっとお待ちください!!。』


「おい。由良〜こっちも酒追加!!。」


『はーい。・・・ってキャサリンさん・・・。』


「ナンダヨ。」


『たくっ、飲んでばっかりいないで、仕事してくださいよ!!』


「ウルサイヨ!!オマエ新人ナンダカラ先輩ヲモット敬イナ!!」


『あ〜も・・・酔っ払いって面倒くさいな・・・。』







「久々に来たけど、騒がしいのは変わらないわね。」



女は奥の席の方に視線を向け、つぶやくようにそう言った。




「それに、何だか今日は女性のお客も多いわねぇ・・・。」




「あぁ、最近来るようになってねぇ・・・。」



女はお登勢の顔を見て、何故だといわんばかりに首をかしげた。




「フフッ、アレさ  アレ。」




お登勢はそう言ってあごで向こうの方を指した。



「・・・・?。」







『ちょっともー・・・キャサリンさん!!お登勢さんに言いますよ!!。』


「ンダトコラ!!コチトラアンナ糞ババアナンテ怖クモネーンダヨ!!」

「おぉ!!キャサリンちゃん今日は言うねぇ〜。」

『酔ってるだけですってば・・・あ〜もう。』


「由良君頑張れ〜!!」






「あら、男の子がいるじゃない?。」





女は驚いたように、少し目を見開いた。



「それに、可愛いわね。ふふっ、
           女性のお客様が多いわけはコレってことかしら?。」



「そう言うことさね。最近じゃ、あの子目当てで来る客もいてねぇ・・・
                           売上は上々だよ。」




嬉しそうに口を開くお登勢に、女は頬を緩めながらもため息を吐いた。






「良いわね。」






女のその台詞に、お登勢は内心首をかしげた。



「そういやぁあんたは今日はどうしたんだい?
                  店の方がうまくいってないのかい?。」



「・・・実はそうなのよ。ついこのあいだ
            店の一番人気の子が交通事故で入院しちゃってね。」



「おい、おい、そりゃあ大変じゃないか。」



女の話しを聞いて、お登勢は少し眉を寄せる。



「幸、命に関わるような怪我はしてないんだけど・・・
            どうも、足の骨が複雑に折れたらしくてね・・・。」





「しばらくお店に出られないのよ。」女はそう続けて
また困ったように笑みをうかべた。






「それで、客足も減っちまったわけかい。」






お登勢はそう言いながら、ガラスコップに酒を注ぎ、女に差し出した。




「それで、お登勢さんにお願いがあるんだけど・・・・。」



 

 


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bkm
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