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なんやかんやで結局土方さんにお昼をご馳走になることになった俺は
土方さんの行きつけならしい定食屋へ行くことになった。





「いらっしゃい〜」



気のよさそうなおじさんの声に軽く会釈しながら 
カウンターの前に座る土方さんに続く。




「おや、兄ちゃん見かけない顔だね?。」




『はい、ちょうど一ヶ月ほど前に江戸に来たところなんです。』



そう答えながら、土方さんの隣の席につく。

すると、その言葉に店のおじさんだけでなく土方さんも少し驚いた表情を見せた。



「お前 この変のヤツじゃなかったのか?。」



『いやまぁ、生まれはこの変の近くですよ? 
            だから12の頃とかは結構このへんにいました。』



「へぇ〜じゃあ引越しでもしたのかい?。」




なぜか興味ありげな顔をしている店のおじさんを不思議に思いつつ俺は口を開く。



『いえ、なんとなくフラフラしてただけです。』



短めにそう言うと、土方さんは首をかしげた。



「なんだよフラフラしてたって?引越しでって意味じゃねぇーのか?」



『違います。俺、12の頃に捨てられたから
       ホントに文字どおりフラフラしてただけです。
           だから、この辺のことも全然知らないんですよ。』



そう、手を お絞りで拭きながら言うと 
土方さんと店のおじさんはすこし、気まずそうに押し黙った。




『別に そんなこと気にしないでいいですよ。俺もう19ですよ?』



溜息を吐きながらそういうと、土方さんはまた驚いたような顔をした。



「お前19なのか?つーことは総悟より上?!。」



いや、そんなに驚くことですか?


なんとも言えない表情で土方さんを見ていると 店のおじさんが口を開いた。



「そんで土方の旦那。今日はどうすんですか?。」



「あ?あぁ、土方スペシャルを二つ頼む。」




そう言った土方さんの注文を聞いて俺は首をかしげる。




『なんですか土方スペシャルって?』




土方さんの名前がついてるって・・・
それほど常連客なのか・・・。




「まぁ、まってりゃ分かる。」




そう 土方さんは心なしか得意げにそう言った。



 
 


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bkm
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