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ここ かぶき町に来て約一ヶ月半


ようやくこの辺の土地に慣れてきた俺は、地図をもつこと無く
俺の仕事になりつつあるお使いに足を運んでいた。



時刻は十時半ぴったり



そんな時間帯にもかかわらず、
同居人はまだ寝ているのだろうなぁ〜と苦笑いをこぼす。




新八君の苦労が目に浮かぶ




そんな陽気なことを考えながら向かうのはお登勢さんお得意の茶屋だった。



なんでもそこの茶葉が美味しいらしい。


店で飲む事もできて、美味しい茶葉も買える
ということでお登勢さんのお気に入りのお店なようだ。





『おっ ここかな?。』





立ち止まった視線の先には「茶屋 利休」と書かれた看板。




メモに書かれた通りのお店の名前を確認して中へと入る。



店の中は落ち着いた雰囲気の新緑の色で統一されていた。
カウンターの奥に見えるお客さんの数はそこそこ多い。
そして俺はカウンターに立っているおじさんに話しかけようと奥へと進む。




「いらっしゃいませ。一名様ですか?。」




人のよさそうな優しい笑みを浮かべたおじさんにはとても好感が持てる。




キャサリンさんにも見習ってもらいたいもんだ。
そう心の中でいつでも偉そうな顔をした店の先輩の顔を思い浮かべる。





『えっと、すみません。飲みに来たんじゃなくて
        茶葉を買ってくるように言われてきたんですけど・・・』




「あぁ、それじゃあ あんたお登勢さんの所の人かい?」



その質問に俺がうなずくと、おじさんは「ちょっとまってね。」と言うと
店の奥へと歩いて行った。



しばらくするとおじさんは茶葉の入ったであろう缶を手に
カウンターへと戻ってきた。



「ハイ。これだろう?。」



こちらが何も言わずとも 買う茶葉の種類が分かっていたのだろう。
おじさんはカウンターにコトリとお茶の缶を置いた。




『えっと、そうですね。あり「おっ、お客様、おやめください!。」・・?』



ありがとうございます。 そう口にしようとした時。



店の奥で女性の少し大きめの声が聞こえた。
何やらザワザワとしているようだ。




それに、おじさんも気づいたらしい。
店の奥に不審な目を向ける。





「いいじゃねぇかよ〜酒くらい置いてあんだろ?早く持って来いってんだよ!。」



「こっ、困ります!ウチは茶屋です!。」




そこでは柄の悪そうな男達がニヤニヤと品の無い笑みを浮かべて
店員の女性に絡んでいた。




「アイツら・・・また来やがったのか・・・。」



眉間にシワをよせてつぶやくおじさんに俺は口を開いた。




『また ってアイツらここによく来るんですか?。』




「・・・あぁ。ここ最近ウチにきては店員にからんでなぁ・・・
                     困ったもんだ・・・。」



俺の質問に答えるとおじさんは苦笑いをうかべて
「すまんね。ちょっとまってておくれ。」と言って 
騒ぎの現況の元へと足を運んで行った。




俺はカウンターの前からその様子を伺うことにした。




「お客さんウチの店員にあまり乱暴なことをされては困ります。」



「あぁん?なんだジジイ お前に用はねぇんだよ!!。」







ガタンッ






「キャアァァァァァ!!店長!!。」




余計に大きくなった騒ぎに俺は眉を寄せ小さく舌打ちをする。




男達の一人が店長を蹴り飛ばしたからだ。




「てっ、店長。大丈夫ですか?!。」




「うぅ・・・。」





店員は顔を青くして倒れる店長に駆け寄る。
その光景を見ている客の顔も真っ青だ。




「んなジジイはどうでもいいから早く酒もってこいよ!!。」




男はついに店員にも手を上げようと手を振りかざした。



 
 


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bkm
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