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トポ トポ 


緑茶を湯飲みへとそそぐ音が病室内に響いていた。





「いよいよ明日で退院か。」





そう口を開いたのは長髪の男 もとい桂さん。




「しかし 今回は本当に災難だったなエリザベス」





桂さんはそう言いながら緑茶を注いだコップを
話しかけているペンギンのお化けのような生物

もといエリザベスに手渡す。





「これからは横断歩道を渡る際はたとえ信号が青でも 車を確認することだ。」





エリザベスが湯飲みを受け取ったのを確認すると
桂さんは自分も緑茶の入った湯飲みを手にする。





「石橋を叩いて渡る程度では今の物騒な世の中渡っていけんぞ
                石橋はバズーカで撃って渡れ。」




そして、そのセリフを待ってましたと言わんばかりに白衣を着たその人は口を開く。












「・・・うむ 若いのに中々いい心がけだ。」






「!」




いきなり聞こえた声に桂さんとエリザベスはそろって視線を白衣の男へと移す。




「でもまだ甘いな なァ長谷川君。
             ババアが作る卵焼きより甘いな なァ長谷川君。」



「そーですね先生。」




白衣の男 もとい変装した銀さんは髪の色に合わせた白い(あれ銀色?)
口ひげをつけグルリとしたレンズのぶ厚いメガネをかけて 
いかにもベテランの医者だと言わんばかりに
同じくメガネをかけて変装している長谷川さんを引き連れ
桂さん達の前へと足を運ぶ。




「石橋をバズーカで破壊した後
隣のコンクリでできた橋をジェット機で渡るぐらいじゃないと
                         なァ長谷川君。」



「先生 それはもはや橋を渡ってません。」



そこで長谷川さんが最もな意見 もといツッコミをいれる。





「・・・ということで どーですかお兄さん 健康診断とか受けてみない?。」

























「オイ 離せ。」







俺達の計画(?)どうり 銀さんと長谷川さんは
診察室へと桂さんを連れてくることに成功した。



ちなみに、俺や神楽 新八君も 銀さん達と同じメガネをかけ 変装中。
神楽はナース服を着ている。





「結構だといっているだろう 俺は自らの体をかえりみている暇などない。」



しかし、無理やり連れて来たためか 桂さんは納得がいかない様子。





「国の病を治すのが俺の役目だ。」



そんな事を言って さらさら健康診断など受けない といった表情をしている。



「なーにいってんのお兄さん 自分の健康も管理できねー奴に
                  国をどうこうできるかねバッキャロー」



そこで銀さんは説得するようなセリフを吐く。
というか説得と言えるのだろうか・・・


何処となくふてぶてしさが滲みでている。



「ちょっとコレ見なさい・・・。」



そういって脳のレントゲン写真を指差す。



「コレさっき撮った君の脳の写真だけれどもね。」



「そんなもの撮った覚えは無いぞ。」




確かにそんなものは撮っていない。
少し無理のある設定に俺は小さく苦笑いを浮かべる。




「さっき撮ったんだよパシャリと なァ長谷川君。」




銀さんはそんなこと何でも無いような表情で口を開く。




「パシャリって何だ そんなスナック感覚で撮れるものなのか長谷川君。」




すかさず疑問を桂さんは口にする。




レントゲン パシャリは大分無理があるが
まぁこの際言い訳なんてどうでもいいので 俺達はその疑問を流す。




「ここ見てくれ ここ 怪しい黒点が見えるだろ・・・あれ?。」




銀さんがレントゲン写真に写った黒い点を指でなぞるようにすると




「オイ 黒点がのびたぞ どういうことだ?。」




その点は銀さんの指のあとをたどって伸びた。





「てめっ 油性で描けっていったろーが。」




「先生やめてください 患者達の間で噂になってますよ 私達デきてるって。」




神楽の肩を揺すりながら言う銀さんに 神楽はまたおかしなことを言う。







何だコレ ぐだぐだじゃん・・・







そして 案の定桂さんは席を立った。




「帰る。」



「まままままおちついて!!。」





さすがにあせった俺と新八君と長谷川さんの三人は
本当に帰ろうとする桂さんの肩を押さえて 必死に言い訳を口にする。




『あの・・・このマジックはアナタの脳の異変を
                 分かりやすく図示しただけなんで。』



続けて新八君。



「アナタ今 頭ん中とんでもないことになってますよ!!」



そして長谷川さん。




「このまま放っておけば近日中に間違いなく頭が
              あの・・・アレ・・・パーンってなりますよ。」





― なにそれ ―





途中からなんとも意味不明な説明になった事に俺と新八君は同じ事を思う。
しかし、そのムチャクチャな説明を長谷川さんは続ける。




「速やかに入院しないと アナタ パーンですよ。」






「・・・・頭パーンだと ふざけるのも大概にするがいい。」




桂さんのその言葉に俺達は息を飲む。












― ヤバイ!!ばれたか!? ―












「国を救う大仕事を前にたおれてたまるか なんとか治してくれ!!」













― ・・・あ   バカだこの人 ―











 


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