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部屋から出て店へと顔をだすと
そこには上の階にいるはずの3人がいた。



「あっ、由良さん!」



俺に気づいた新八君は少し心配したような顔をして近づいてきた。



『何、みんなどうしたの?。』



「どうしたのじゃありませんよ!
お登勢さんに由良さんが怪我してるから店の準備手伝えって言われて。」



「心配したんですからね。」そう言って困ったような顔をする新八君に
また少しだけ頬がゆるんだ。






「そうヨ!由良。私もすっごく心配したネ!ちゃんとメシ作れる体アルか!?。」








・・・そっちの心配?








『ハハッ、大丈夫だよ・・・。』



頬を膨らませて怒る神楽に俺は苦笑いを浮かべる。



「まぁ、何があったか詳しくは知らねぇが無事そうでよかったよ。」




坂田さんはあくびを噛みころしながらそう言った。



・・・結局ちゃんと心配してくれてるのはお登勢さんと新八君くらいだ。



『でも、すみません。俺のおかげで仕事を手伝ってもらって・・・。』



「まったくだぜ、俺は忙しいって言うのによぉ〜。」



「ほんとアルな〜こっちだってなぁ、そんなにヒマじゃねぇんだヨ。」



坂田さんと神楽は少し迷惑そうに口を開く
・・・ソファーの上でくつろぎながら



「2人とも何言ってんですか!手伝いなんて僕しかしてないでしょ!!。」



新八くんの言う通り、2人はモップすら手に持っていない。
ホントにソファーでごろごろしてる。



新八君も苦労してるなぁ〜



「ったく、まったく忙しくもないくせによく言いますよ。」



「あぁん!?何言ってんだよお前。
俺はジャンプ読んでたにもかかわらず来てやったんだぞ?。」



「そうヨ!私だって昨日録ってた昼ドラ見てたのに!。」



またしても不毛な争いが起きそうな3人に俺は小さく溜息をつくと
店の掃除に取りかかった。



まったく、よくもまぁこう毎日毎日わけの分からん言い争いができるもんだ。


3人の怒鳴り声をBGMにコップを洗い、テーブルを丁寧に拭く。


そして、ちょうど坂田さん達が座っている
ソファーの前のテーブルを拭きに来た時、いい争いが終わったのか
新八君が少し不思議そうに首をかしげた。



「あれ、由良さんそんな腕輪してましたっけ?。」



その疑問に、残りの2人も俺の手首に視線を落とした。



「ほんとネ。どうしたアルか?ソレ。」



『あぁー・・・』



どう説明すれば良いのやら。


困った顔をして言葉を濁していると
坂田さんが面白そうだと言わんばかりに目を光らした。



「ハハ〜ン さてはお前、女に貰ったんだろ。」



「マジでか!?やるアルなぁ由良。」



「えぇ!?そうなんですか?。」



坂田さんの言葉に神楽は目を輝かせ
新八君は驚いたように目を大きく見開いた。



いやいや、そりゃあないって・・・



しかし、坂田さんは顔をニヤつかせ俺の肩に手をまわした。



「で、どんな子?キレイ系?もしくはカワイイ系?。」



親父か!本当にそう叫びたくなったが俺はグッとこらえた。



  
 


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bkm
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