「・・・おい、コレでも良いんじゃねぇかィ?。」
そう言って総悟はがまた着物をもって来た
どうせまたろくでもないものには違いないだろう
俺は小さく溜息を吐いてから後ろを振り返った。
『なっ・・・・!?。』
そして、固まってしまった。
総悟がもっている着物。
それは女物の裾の短い着物だった。
『いっ、いや・・・俺、男ですから・・・。』
「アンタどっちかっていうと女顔だし、別にいいんじゃねぇですかィ?。」
『いや いや いや、男ですから。女顔でも男ですから。』
正直あせってしまった。
女だとバレたのかと思ったから。
別にバレても不都合なことなんて 一切ない。
でも、秘密にしていることがバレるのは あせってしまうものだ。
結局俺は、黒 薄緑 赤 の無地の着流しを三着買った。
「ありがとうございましたぁ〜」
若者独特の語尾を伸ばした喋りの店員に
お決まりのお礼を言われて店を出ると隣を歩く総悟にふと質問を投げかけた
『あの、本当にいいんですか?仕事もしないでこんな所プラプラして・・・。』
「こういうのはバレなきゃいいんでさァ。」
あくびをかみ殺しながら悠々と言ってのける総悟に俺は溜息を吐いた。
『そんなんで良く仕事なんてやってけるなぁ〜・・・。』
「んなことはどうでもいいんで、どっかで休みませんかィ?。」
正直俺の方が絶対疲れてると思う
しかし、そんなことを言っても後が怖いので黙っておく。
「そこのファミレスにでも入りましょうや。」
そう言うやいなや、総悟はファミレスを目指してスタコラと歩いていく。
本当ならそんなのおいといて帰るところだが
お登勢さんに頼まれたお酒の袋をもっているのが総悟なわけで・・・
俺は仕方がなく総悟のあとに続く
なんと勝手な青年であろうか
あぁ、本当に今日は厄日だ・・・
bkm