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『重い・・・・。』





そう小さくつぶやきながらも俺は来た道を帰っていた。

行きしに着物を売っている店があったので、服はそこで買おうと思っていた。



が、さすがに酒七本は重いもんで
コレから悠長に買い物が出来るかどうかは難しいところだ。


まぁ、パッパと、選べば良いか・・・。





そんな事を考え込んでいると、急に荷物を持っていた手が軽くなった。




『あれっ?。』




ふと前をみると、二人乗りのバイクが、少しよろけながらも
俺が先ほどまで持っていた酒七本の袋を持っていた。






「あぁ、今ココで引ったくりにあったんだと。最近多いらしいからなぁ・・・
                   おめぇも気をつけたほうがいいぜ。」





行きしに会ったおじさんの話を思い出して溜息をつく











嘘だろ・・・・









あぁ、めんどくさい事この上ない。


しかし、そんな事をのんきに考えている場合でもないので
俺はバイクを追って走り出す

こんな時ってサンダル履いてんのはちょっと不利だと思う。



さすがにバイクには追いつけないので俺は近くにあった自転車を借りることにした。



力の限り自転車をこいでいると
何とも運の良いことに
引ったくり犯は信号につかまっていて止まっているのが見えた。



そして、だんだん距離が縮まったところで



『お〜い、お2人さん、俺の荷物返してくんなぁ〜い!。』



と、大声で叫ぶ。



それに気づいた引ったくり犯は驚いた顔をして俺を凝視している。


そりゃそうだ、自転車でバイク追いかけてんだもん。

7年間、数々の浪人達に殺されそうになったのを逃げ切った俺の脚力なめんなよ!





あと数メートル









そんな時に信号は青に変わる。






あぁ本当に俺は、運が良いんだか悪いんだか・・・



しかし、ココであきらめる俺でもない



『待て〜!!引ったくり〜!!』



そう叫んであいつらが引ったくりである事を周りの人に知らせる



そして力の限りペダルをこぐ。



ホント、俺は人間の神秘に感心する。
火事場の馬鹿力、まさにそんな感じで自転車でバイクに追いかけていた。



しかしそれもすぐに限界がくる
ハンドルを握る手が汗ばんできて

足にも力が入らなくなってきた。



ヤバイなぁ・・・




そんな事を思っていると







「ハイハ〜イ 危ねぇですぜィ。」






と、男の声が聞こえたかと思うと









ドカーンッ







という、大きな音とともに

これまた大きな衝撃と爆風(?)がやってきて、俺は自転車から転げ落ちた





いったい何が起こったのかもまるで理解できず
俺の意識はだんだんと遠のいていく





あぁ、今日は厄日だ・・・


 


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bkm
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