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「由良は何でこんな所に住むことになったアルか?。」



『ん? 俺ね、12の頃から家なくて ノラリ クラリと生活してきたんだけど
住み込みで働けるってところを紹介してもらったんだよ。
                  それが"スナックお登勢"ってわけ。』



「由良家無かったアルか?。」



『うん、俺んち貧乏だったからね。親に捨てられたんだ。』



「えっ、由良さんって捨てられて家が無くなったんですか!?。」




新八君も神楽も驚いたように目をまるくした。
そういえば新八君に家がない事は話したけど
捨てられたことは言って無かったな。



「それじゃあ由良家族いないアルか?可哀想ネ!
    私が家族になってあげるヨ!ありがたく思うヨロシ!」



『んー、ありがとね。』



「それにしても酷いもんですね・・・いくら貧乏でも
                  我が子を捨てるだなんて・・・。」



新八君は気の毒そうに顔をゆがめて言った。



『・・・別に 酷くも無いんじゃない?。』



俺がポツリとそうつぶやくと、三人は驚いたようにいっせいに俺を見た。



『だって、貧乏だったんだし 仕方ないよ。』



今までずっと家なんて無かったもんだからしっかりと寝れたことが無いせいで

今更睡魔が襲ってきた



『俺が捨てられて、あの人達が生きてけたなら別にそれでいいじゃん。』



俺はあくびをかみ殺しながらそう言う。



ようするに、みんなで死ぬか一人を犠牲に残りが生きるかって話だ。
前者は賢い選択なのだ。



「んな、他人事みたいに・・・。」



新八君はやっぱり呆れた顔をして突っ込んだ。



「由良は心広いアルな〜どっかの誰かとは大違いヨ!。」



「いや、そこまでいくと心広いとかそう言うレベルじゃねぇーだろ・・・
      俺は心広いけどね。
       でも まぁどっかの誰かよりは器がデケーのは確かだな。」



「何ヨ!私だってデッケー器持ってるもんネ!。」



「あん?誰もテメーのこと言ってーねぇーけど?。」



「私だって別に銀ちゃんのことなんて言って無いアルヨ。
アレ?なんで自分だと思ってんの?自覚でもあるアルか?。」



「あぁもう!やめてくださいよ2人とも!。」



なんだか小学生みたいな喧嘩をしている二人を見て新八君は溜息をついた。



『ねぇ、坂田さんどっかで寝かしてくんない?俺もう眠くてヤバイ・・・。』



2人の喧嘩を横目で見ていたが限界がきた。



「別にいいけどよぉ・・・何?もう眠いの?。」



『まぁ、なんか慣れない環境に来たばっかで疲れたんで・・・』



俺がそう言うと坂田さんは納得したような顔をしてソファーから立ち上がった。



「俺の布団ひいてやるからそれで寝とけよ。
 あぁーこれから夜もたぶん俺と同じ部屋だけどいいよな男同士だし。」




ホンとは女だけどね




『別にいいですよそんなん何処でも。ていうか神楽はいつも何処で寝てんの?』


それは素朴な疑問だ



「神楽はドラえもん。」



ドラえもん?



「私いつも押し入れで寝てるヨ。」



あぁ、そういうこと。



『て言うか坂田さんこんな真昼間から家にいて 仕事とか大丈夫なんですか?』



「今日はまだ依頼が来て無いから仕事がないネ。」



・・・まぁ 万事屋なんてそんなもんだよね。



「というか 銀ちゃん仕事ヘタネ この前も黒田さんとこのシロ猫も
                  結局見つからなかったアル。」



「あれはお前、俺だけのせいじゃなかっただろーが! 
           俺だってなぁ、やるときゃやるんだよ!!。」



あぁ、だからか。






だから








『死んだ魚見たいな目してんだ。』








「んだとコラ!!それとこれとはカンケーねぇーだろ!
         それにいいんだよコレはいざと言う時きらめくから!!」





『あぁ ハイハイ そうっすね〜。』





「ったく!んだよどいつもこいつも!。」






・・・どうでもいいから早く布団ひいて


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bkm
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