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今回のことは、正直言って私に非がある。









そりゃあそうだ。教師ともあろう者が朝帰り。




しかも自分の生徒にその様子を目撃されるという

大失態を起こしたわけなのだから。













思わず口止めのために山村にパフェをおごるという形で落ち着いたわけだが、








思い出してもらいたい。








待ち合わせ場所がなんと駅前の時計台の下。












日曜日のそんなところに高校生がいないわけがない。





ようするにそれはもちろんうちの生徒も例外ではない。





そもそも、山村と行くパフェの店がもう若者のたまり場なわけで・・・








教師と生徒が休みの日に一緒にパフェ食ってるって



そんなもん目撃された日にはもう、誤解を招く以外の結末は見えない。











だから、なんとしてでもばれるわけには行かないのだ。










『・・・どーしよ。』









職員室前の壁でうなだれていると、


ちょうど出てきた安藤先生に変な目で見られてしまった。































『はぁ・・・』





「どーしたんですか柏木先生。また大きなため息なんかついて。」





机にむかってドカリと座り込めば、


少し心配したような顔を向ける土井先生。






『いや、なんかもう疲れまして・・・』





「また3組がらみですか?。」





先ほどまで土井先生と話し込んでいたらしい山田先生も

私に気を使って声をかけてくださる。






『はははは。・・・まぁそんなところです・・・』





どーしたもんかと乾いた笑みをこぼせば



気の毒そうな二人の視線に少し目頭が熱くなってしまった。






『って、お二人は何を話しこんでいらっしゃったんですか?』






「あぁ、山田先生の息子さんの話でちょっと・・・」





土井先生が苦笑い気味にそう返すと


山田先生は「そうだ」と思い出したように私につめよった。





「ちょっと聞いてくださいよ柏木先生!。」





『は、はぁ・・・山田先生の息子さんですか・・・』





「そう。確か柏木先生の4つほど年上だったかなぁ。利吉君って言ってね。」





なんと、山田先生にそんな大きな息子さんが・・・




いや、まぁ山田先生のお年からすればいたとしても

何の問題もないのだけども・・・




なぜかすごく以外で・・・・




「利吉君って、ものすごくかっこいいのよ〜」




話を聞いていたらしい事務のおばちゃんが



通り過ぎざまに私にそんなことをこぼしていった。








『へぇーかっこいいんですか・・・息子さん。』







何の気なしにそうこぼせば、山田先生が少々声を荒げてながらも


息子さんについてらしい、話を続けた。






「そりゃあ、見てくれはちょっといいかもしれませんがね、
なにぶん、一人息子だし、年も年なもんだから
早くいい人でもみつけて結婚でもしろっていうのに、」




自分の母親を思い浮かべて少々私にも耳が痛い話ではあるが

素直に頷いて話を聞くことにする。







「アイツときたら、頻繁に一緒にいる女性がかわっとるんですよ!!」






『あ、あらまぁ・・・・』





「利吉君。かっこいいもんだから、引く手数多なんでしょうねぇ・・・」






山田先生の息子がイケメンで、女をとっかえひっかえ・・・





んー想像できん・・・




いちど見てみたいもんだ。






「この前会った時だって、 眼鏡なんかかけてるもんだから
目でも悪くなったのかと聞けば、伊達眼鏡だって言うじゃないですか。」




『ほう。』



「なんでも周りの評判がいいそうでねぇ・・・」




ぶちぶちと愚痴をこぼす山田先生の姿はなんだか新鮮だ。







「でも、まぁたしかに、眼鏡ってだいぶ雰囲気違って見えますもんねぇ」






何のフォローか知らないが、苦笑い気味に


山田先生をなだめるように話題を振る土井先生に私も乗っかっておく。






『確かに、知り合いでも一瞬誰か分からなかったりしますしねぇ。』





「で、ですよねぇ。」





このまま、話題を変えれそうだとふんだ土井先生は

少し大げさに私の意見に同意してみせた。








うんうん




昔、高校時代の知り合いの不良Aが眼鏡かけて勉強してた時


まじで誰だかわからなかったこととかあったもんなぁ・・・・って




















・・・・ん?
















そうか。


















眼鏡か・・・・・・。




















『土井先生!!そのアイデアいただきましたよ!!』















「へ?は?」












わけも分からず目を白黒させている土井先生を横目に



職員室を飛び出した私は




少し離れた廊下で携帯を取り出した。







電話のあいてはアイツだ。



『もしもし、A子?ちょっと頼みがあんだよ・・・。』

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