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予約の店の座敷につけばすでに来てらっしゃった男性陣。




女の登場にわーっと声を上げる。





「こんばんわー今日はよろしくお願いしまーす。」




A子が愛想よく声をあげるとパラパラと男性陣からも元気の良い挨拶が。




「あー一人仕事で遅れてくるやついるんだわ、

      それまでちょっと男一人少ないけどごめんね。」




適当にみんなで腰をおろしていくと


男性陣のひとりが少々申し訳なさ下に断りを入れる。




「そーなんだ。全然いいよいいよー。」






んー。






あらためて男性陣をみてみるが



A子のセッティングのくせしてなかなかである。




みたところ、もろに頭の軽そうなチャラ男はいない。


さっき、自信があるとかなんとか言ってたのにもまぁうなずける。






「よし、じゃあまぁ、あいつが来るまでに俺らで自己紹介しとこうか。」





男の意見に「賛成〜」とちらほら声があがる。





「よし、じゃあまぁ男からいくか。」




「じゃあ、一番端の俺から、

えーっと、田中 巧って言います、年は24で職業は実家の居酒屋で

             板前見習い?みたいなことやってます。」




「へーすごーい板前さん?!お料理上手なんですね。」



U子の感激したような声に田中は照れたように後ろ頭をかく。




すごい印象いい感じにしゃべってっけど

U子の猫かぶりはんぱないな。



もうしゃべりかたからしてさっきとは段違いじゃん。




「えと、次は僕で。山崎 直哉って言います年は23で、
A子ちゃんとは大学時代の同級性です。職業は一応美容師やってます。」




これまた、美容師。



なかなかいい感じの職業についてる人が多いようで。


てか、この人がA子の知り合いかよ。



まじでか、意外すぎる。



高校時代からの友人ではあるA子だが、


彼女の友好関係がなんか謎である。





「はーい、俺は原田 智也っていいます。年は25で、
ブライダル関係の仕事してます。なんかこん中で俺が最年長っぽいけど
                    気軽になかよくしてください。」




確かに、原田はブライダル関係という職がうなずける感じで


スマートで柔らかい雰囲気のなかなかイケメンである。






なんだ。今回の合コンマジであたりじゃねぇーか。





「じゃあ、最後に俺で。竹谷 八左ヱ門って言います。

         すっげぇ古風な名前ってよく言われます。
        
           年は24で職業は地元の交番の警官やってます。」





最後の人は何かこう笑顔がものすごいさわやかな人。




つーか大体年上だな。



なかなかグッジョブな人選である。





「ちょ、慎慎。やばくない?今回のよくない?

             てか最後の人超イケメンじゃね?」




肘でかるく私のわき腹をつつき、こそこそと耳打ちしてきたのは

いわずもがなA子。




『んーあんたにしちゃあ出来すぎだよな。なに、どうしたの。』




「はは。めっちゃそれ失礼だし。」




そんなことをこそこそ離している間に女子組みの自己紹介はすでに始まっていて


私の隣のA子のばんであった。




「よっしゃ、つかみが肝心だからね!!」



小さく意気込んで雰囲気よさ下に自己紹介しだすA子。



まじで変わり身はえーなこいつ。











そんなこんなで私もあたりさわりなく自己紹介を終え


とりあえず席替えでもして飲みだすという形に。







ちなみになんと私の隣になったのは竹谷 八左ヱ門。



A子が言ってたとおり、確かにイケメンではあるが


ぶっちゃけ彼の職業が私の高校時代のことを考えると


なんか苦い思い出なのでちょっと苦手意識があったりする。




「なぁ、柏木さんって高校教師やってるんだ?」



『んー、てか、私のほうが年下だし。さんとかつけなくていいですよ。』





「そう?んじゃ慎ちゃんとか?」




『お好きにどーぞ。』




とくに呼ばれ方とか気にしないし。



「んじゃおれもハチとかでいいよ、長いだろ?八左ヱ門って。」




やっぱりハチさんはさわやかに笑いながらそうこぼす。



やばいぞ、なんだこの人。




警官という私にとってのマイナスポイント(?)

があるにもかかわらず



なんかこういちいちかっこいいなぁとか思わされてしまう。




「俺の友達にもさ。高校教師やってるやついるんだよね。

            そいつもよく愚痴ってるよ。やっぱ大変?」




『ふーん偶然ですね。んーまぁ大変ですね。悪餓鬼ばっかだし。』




「ははっ、だよなぁ」






「ていうか、慎ってば生徒にめっちゃモテモテなんですよー。」




『チッ』





私とハチさんの前の席であるA子は、隣の原田さんと話してたくせに

目ざとくこちらの話も聞いていたらしい。



余計なことを口走りやがって、



思わずちいさく舌打つ。





「えー本当?そりゃあ大変だね。
      でも慎ちゃん確かに年下にモテそうかも。」




とうぜん、興味深そうに話に入ってくる原田さん。




『えー、そうですか?どの変が?』




少々眉間にしわをよせて言えば一瞬隣のハチさんが噴出す。




なんだいきなり。



思わずハチさんの顔に視線をやれば、口元に手をあてながら


いまだ半笑い気味でなんでもないとか言いやがる。




なんですか。まじで。





「んーなんかさぁ、クールビューティっていうの?

それでいて、慎ちゃんってなんか雰囲気教師っぽくないじゃん?

あ、もちろん良い意味でね?」




んーたしかに教師っぽくないとは散々言われる。




「だから親しみやすいって言うのもあるんじゃないかな?」




原田さんの言葉になるほどなーっとなんとなしに考える。




そうか、教師っぽくないのもひとつの原因か。


だよなぁ。・・・そうか。







そして原田さんとA子は再び二人でしゃべりだす。



その様子をみて、アルコール度数低めのチュウハイを一口。




それから隣のハチさんにまた視線をむける。



「ん?」



テーブルに肘をついて小さく首をかたむけてこちらに視線を返す。


そのイケメンすぎる動作と、短くこぼされた低い声。




なんだこの良い男とかおもいながらも口をひらく




『なんでさっき噴出したんですか。』




さっきは原田さんとしゃべってたから一応スルーしたけどな。



なかなか気になっていたのである。




「あぁ、いやさ、慎ちゃんメチャクチャ目つきわりぃなって思って。」



ハチさんはまたその私の顔を思い出したのか小さく笑いながらそう答えた。




あーそのことか。




『むかしっから目つき悪いんですよね。

        そのせいでろくな友達できませんでしたよ』




ちょっと昔の苦労を思い出してチュウハイを再び口元に持っていく。




「確かに近寄りずらいかもな。耳もピアスホール結構あるし。」




耳も見られてたか。



そういわれてなにげなく自分の耳に手で触れてみる。


確か右には3つ、穴が開いていた。




耳に軽く触れながらチュウハイをグッと飲む。




すると






「ごめん。遅れちゃった!」





と、遅れてきたらしい最後の男が座敷に上がってきた。



キャイキャイと女性人から上がる声と

男性陣から軽く上がる笑い声に、私もその遅れてきた男に視線を向ける。




男はそのばで手短に名前を名乗るだけの自己紹介をする。




「遅れてすみません。どうも、不破 雷蔵です。」



『ブフォッ!!!!』





思わずチュウハイを噴出した私は悪くないと思う。

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