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『あーい、今回の平均点はなんと64.2点もありまーす。』





「え、」


「嘘。」



普通ならば、まぁまぁ損なもんか・・・



位の平均点である。



しかし、こと3組においては高すぎる数字だったりする。





どよどよ


どよどよ




ざわめく教室。




『じゃあ、まぁ、主席番号順に取りに来てね。』




猪名寺 ―





順番に名前を呼ぶ中、


脳筋トリオの中で、一番出席番号の早い




『加藤』




「・・・・」




なんとも真剣な表情である。



私の余裕の笑みのおかげで、ずい分と自信をなくしたようだ。



ゴクリと、のどを鳴らし、自分の答案用紙を受け取る。






「は、・・・はちじゅう・・・」




『んーがんばったねー』



抑揚も何もないにしろ、そう言ってやれば


自分の拳を高く上げる加藤。




「お、おい、まさか団蔵の奴!!」


「ま、まじかよ!!」



そのようすに、事情を知っている佐武と皆本は目を見開く。






「よっ、しゃあああああー!!!」






大声を上げた団蔵に、クラス中が視線をむける。



「なになに?団蔵点数よかったのー?」



興味深そうに団蔵の答案用紙をのぞいたのは夢前。





「は・・・?80点?」



同じく、その答案用紙を覗いて声をもらしたのは笹山。



その困惑にも似た笹山のつぶやきにクラス中は再び大きな声に包まれる。




「う、嘘だろ?!」


「あの団蔵が!?」



「あの、脳筋の団蔵が!?」



「わ、私よりも点数高い!!」






どよどよと加藤の周りに


その問題の答案用紙を一目見ようと生徒が群がる。




「慎ちゃん!!あ、あの約そ」




『はいはーい、続き配るからみんな席もどれー』



「ちょ、約」



『黒木。』





完全に無視。




なんたる卑怯。



なんと言われようとも無視を貫き通す私に、


状況、というか、


私の考えを理解した加藤は



「そうきたか・・・」



と、小さくつぶやき自分の席へ戻っていった。





あきらめろ、加藤、佐武、皆本。



テストでいい点数取れたんだから。


それでいいじゃん。





私的にはそりゃあもう万々歳でテスト返却は終了したのだ。





あの時、素直にひきさがった加藤や佐武、皆本たちに


あいつらも納得してくれるだろうとか、



そういう甘い考えをもった私は馬鹿だったのだろうか・・・

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