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目的の3−3のクラスにつくと、なるほど。


これは問題児クラスかもしれない。
と、思ってしまうほどのバカ騒ぎ。


上の窓からかすかにバスケットボールが飛び回っているのが見える。


そこで初めて、新人に面倒なクラスを持たせんな〜と思ってしまった。


星 飛雄馬のような熱血少年であることを祈りながら。


ずいぶんと騒がしい教室の扉に手をかけた。







ガラリ






扉を開けると、
私の目の前を何かが猛スピードで落ちていった。





バフッ




少し柔らかめのその音に視線を足元に向けると、

見事にチョークの粉が沢山ついた黒板消しが落ちていた。








「あぁ、くっそー!!ひっかかんねぇじゃん!!」


「えっマジで?」




少しの沈黙の後、聞こえてきたのは男子生徒の悔しそうな声。




あぁ、そういうことか。

彼らは古典的ないたずらに挑戦したようだ。
扉の隙間に黒板けしをはさみ、開けて入ってきたものが
落ちてきた黒板消しによってチョークまみれになる。



しかし、このいたずらを一度やったことがある人は分かるだろうが
この落ちてくる黒板消し。
なかなかかなりのスピードなのだ。

扉を全て開けきる前に顔を突っ込まない限りそうそう頭に落ちてきたりすることはないのである。

少々重たい扉であればなおさらだ。
漫画なんかでよくあるが、このいたずらはあまり効果的ではない。
彼らはそのことを知らないのだ。



なぜ私はそんなこと知っているかだって?



それはまぁ、気にしないでいただきたい。









そんなわけで、彼らの先例にもかからなかった私は
特に気にすることもなく。
落ちた黒板けしのおかげで少々汚くなった教室の床を横目に教卓へと足を運んだ。





『えーっと、今年から君たち3−3組の担任となる柏木 慎です。
ちなみに担当教科は英語です。まぁ、これから一年間よろしく。』





適当に自己紹介を終わらして少し教室に視線をめぐらせた。


かなり完成度の高い落書きに、ぐちゃぐちゃに並べられた机。
そこに各々腰掛ける男子生徒たち。



うん。やっぱり柄の悪そうなやつばかりだ。


いや、噂というのもモノによっては案外あてになるもんだ。
そう、感心していると



「はぁ!?今年も土井先生なんじゃねぇの?」



「つーか英語って!!英語って何だよソレ!!俺まるで意味わかんないし!!」


「団蔵は英語じゃなくても意味わかってないじゃん。」




まぁ、文句の嵐である。




『んー土井先生は今年は君たちの副担です。担任は私。』





「なんで〜?アンタ明らかに新米じゃん?見るからに若いし。いきなり担任とか何なのマジで。」




ため息混じりに嫌味をこめて文句をこぼす前髪パッツンの少年。
敵意むきだし。

なんだこの餓鬼は、大人に敬語一つ使えんのか。


「何ガンたれてんの?なんか僕に文句でもあるわけ?」


『いや、別になんもないけど。』




つーか別にガンたれてないんだけど。



「まじウザイ。用ないならこっち見ないでくれる?」



パッツンはそういって顔をゆがめるといやみったらしく手で払う仕草をしてみせる。



「ちょ、兵ちゃんキッツー!!いつもは女の子には優しいのにさぁ〜。」


「コイツは別〜先公だし。」


パッツンとしゃべってるのはパッツンのお隣に座るニッコニコの笑顔を浮かべた少年。




つーか何?最近の高校生ってこんなにウザイの?調子のってんの?
お前のほうが今そうとうウザイよ?ふてぶてしいよ?




「ハイハイッ!!先生いくつ?!彼氏とかいんの?!初体験とかいつ?!」




次に聞こえた大きな声は、例の英語が嫌いらしい少年。
おい、最後さりげになんつー質問してんだ。


『先生は22歳です。今年で23だけど。そこの君がいった通り
バリバリの新米教師です。んで今は彼氏いません。最後の質問にはノーコメント。』


「22?!まじで若ェー!!俺らと3つ違うだけじゃん!!」


「4つだよ団蔵。ほんっとに脳筋だね。先生すみませんコイツデリカシーってもんがなくて。」




「引き算もできねーのかよ」と、野次を飛ばされるなか、
英語嫌い少年の斜め前に座る少年はあきれたように口を開いた。


んん。まぁまぁ、常識人っぽい。



『ま、とりあえず。先生新米だし、君たちの事なんも知らないから自己紹介でもしてくれる?』



まぁ、ここは無難に・・・そう思って提案したものの、パッツンからめんどくさいと言わんばかりに盛大なため息が聞こえた。

コイツまじでむかつくな。
わざとだろそのデカイため息は!!


イライラはつのるもののここは大人になろう。

自分にそう言い聞かせながら心をおちつかせ、

適当に端の席に視線を向けた。



『んじゃ、君からよろしく。』



「はにゃ〜?僕から?」



はにゃ〜?何、その奇声は・・・男がんなこといってもなんもかわいくないからな。

ちょっと、いやだいぶ着くずされた制服に身を包んだひょろ長い少年。
なんか、おっとりしてそうだが制服のせいでだいぶチャラく見える。



「え〜っと、僕は山村喜三太っていうんだ〜。好きなものはナメクジさんとかわいい女の子。慎ちゃんよろしくね〜。」



ナメクジ・・・・?










つーかちゃん付けすんな。

柏木先生とよべ先生と。

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