3


『皆本と加藤も、そこのつづり間違ってる。lじゃなくてr。』




指摘されたのはそんなところ。



ちょっと待ってくれ。

何が違うんだLとRは!!




一緒じゃん!!同じラ行だよ!!



具体的に言うならアレだ、・・・ほら、



colorとかまさにソレ。



なんで3文字目がLなんだ。


別にrでも俺は読める。




その前になんで"o"を"ア"と発音するのかもよくわからん。


colorはなんで"カラー"なんだ。


"コロル"だよこんなもん"コロル"




要するに長々と、俺が何を言いたいのかってことは、


英語って意味分かんねって話。






「あ゛ー!!もう駄目だ!!
      なんかちっさい文字の羅列見てると眠くなる!!」




たまらず俺は座ったまま後ろに反り返る。



俺の後ろにいる虎若もすでに上の空だ。





何ていったらいいのかなぁー・・・



やる気になれないのはなんていうか・・・




「なんかさー・・・こう。
       モチベーションが上がんないって言うか・・・」




後ろで、ついにはペン回しに白熱し始めた虎若を

反り返った体制のまま目に映しながらそんなことをぼやく。




すると、返ってきたのは



『何?がんばったご褒美とかほしいわけ?』



という慎ちゃんの声。




「何?!慎ちゃんなんかくれたりすんの!?」



思いもよらない返答に。


テンションの上がった俺はバッと勢いよく体を起こし、


慎ちゃんに視線をむけた。





だけど返ってきたのは『飴をやる。』

という答え。



思いっきり落胆したのは俺だけじゃない。



少しめんどくさそうに悩み始めた慎ちゃんに




俺はパッと名案が浮かんだ。



「ハイハイ!!じゃあさ!!」



いきなりのテンションに

慎ちゃんは不審な目を俺に向けるけどおかまいなし。



「何でも言うこと聞いてくれるって言うのは!?」







あからさまにゆがめられた顔に少し笑いそうになったのは内緒だ。


だけどまぁ、少し考えた慎ちゃんが出したのは


『金がかからなければ別にいい』



という答え。




ペン回しに白熱していた虎若も、ソレを聞いてピクリと反応する。



「・・・まじで?何でも言うこと聞いてくれんの?」





その言葉に、どうにも厭らしい気持ちが含まれてしまうのは
男だからしょうがないとわりきってもらうしかない。




「"ご褒美は私よ"的な!!?」



たまらずそう声を上げれば


あきれたようにとんでもないことを口走る慎ちゃん。



どうやら俺をからかうことが好きならしい慎ちゃんに
まんまとはめられた俺は


まったく知られる必要の無いことまで口走ってしまうしまつ。




恥ずかしくなって金吾の後ろに隠れて


ム○ゴロウさんなみに頭をなでられていると
















「じゃあ、乳もませろよ。」






と言う、虎若の声が聞こえた。






一瞬驚きもしたけど、


所詮冗談の範囲だ。




「なんかそんな映画なかったっけ?」


つぶやいた金吾に、俺も頷く。




「あーあったあった。」




確か、なんかバレーとかするやつだろ?






当たり前だけど、あっさり否定する慎ちゃんに

食い下がる虎若。




あきれたらしい慎ちゃんはもう

"馬鹿"を連発。




でも、次の言葉の途中で急に黙り込む。



何か考え込んでいるのか、しばらくの間沈黙が続いた。





「"成果をだしたやつにしか"・・・何?」


金吾がそう口を開けば、



『良いよ。』




という 何に対してか分からない肯定の言葉。




思わず「何が?」と声をもらせば








『だから、乳もませてやっても良いって話。』








という、とんでもない爆弾発言。




いきなりのことに、思考が追いつかなくて
一瞬頭が真っ白になった。



それから、この人は何言ってんだ



って思って、




「「「はぁ!!?」」」



と、思わず俺たち3人の口から驚きっ・・・て言うか

ほとんど困惑?見たいな声が漏れた。





しかし、次の瞬間頭の中の『?』がすべて消えることになる。






『ただし、80点以上とれたらな。』



という慎ちゃんの言葉の制で。






要するに、俺たちにそんなことできるわけ無いと
高をくくった慎ちゃんは虎若の要求を飲んだわけだ。





『悔しかったら80点以上取ることだな!!』



そういって、まるで戦隊物の悪役みたいに高笑いしながら
教室を出て行った慎ちゃん。



残された俺たちはしばらくの間口を開かなかった。


ていうか、開けなかった。




「・・・なぁ、虎若、金吾。」



「・・・あぁ、団蔵。」



「・・・上等じゃん。」



俺の漏らした声に、虎若も金吾も顔を見合わせる。




「ぜってーあいつを後悔させてやるぜ。」



「いや、むしろ満足させてやるよ!」



「俺のゴットハンドでな!!」



ちなみに、上から金吾、俺、虎若のセリフである。






さっきまでとはまるでやる気の違う俺たち3人。



そりゃあそうだろう。

とんでもないご褒美が目の前にぶら下がっているんだから。




何がなんでも揉んでやろうじゃないか。


それから、そのことを兵太夫にでも話してやろう。





悔しがる顔がみれるだろうな。

ていうか、殴られるかもね。




いつもからかわれてるお返しみたいな?





まるで昔話の『兎と亀』


兎は慎ちゃんで亀が俺等。
せいぜい今のうちに、ゴールの前で休んでてよ。



気がついたころには俺等がさきにゴールに立ってるからさ。


後悔したってもうおそいよ?
慎ちゃんってば、まだ俺等のことを分かってないね。



知ってる?俺等って相当馬鹿だけど





相当な負けず嫌いなんだぜ?

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