act.12.5 生徒と煩悩


今日は金曜日。



そう、金曜日なのだ。


しかし、金曜日といえども

今週に限ってはそれに喜べるわけもなかった。



そう、





『あーい、今日は金曜日ってことで、
   テストまで残すところあと3日しかないから、
          金曜だからってうかれんじゃねぇぞ。
                 しっかり勉学に励んでね。』




つまりはそう言うことだ。



担任である柏木の声に、
俺を含めた3人の空気がズンッと重くなるのを感じた。




大川学園には大学がある。


相当酷い成績でなければ大学にも上げてもらえる。




しかし、しかしだ。



"相当酷い" の "相当"の定義とはいったい何だ?



どこまで酷ければ"相当"で、どこまでが酷いのか。



その明確なボーダーラインを

残念ながら俺たちは把握していない。





そして、馬鹿は馬鹿なりにも


俺たちの"酷い"が"相当"とのボーダーラインに
限りなく近いであろうことは理解できている。



いや、すでに"相当"はもう越しているかも・・・





駄目だ駄目だ!!


ネガティブになるな俺!!




とにかく!


3年になって、今まで好き勝手やってきたおかげで
よろしくない成績のしわ寄せが来ているのだ。




頭では分かっていながらも、


いざ勉強をするとなると、もう体が拒否反応をおこすのだ。




俺の場合もう眠い。


とにかく眠くなる。




部屋で勉強なんかしようと思えば、
もちろんベットがあるわけで



俺の中の天使と悪魔では力の差があまりにも違う。


もちろん強いのは悪魔のほうだ。



要するに、自分の欲にものすごく忠実である俺が

そんなことを実行できるはずも無く・・・







幸い(?)なことに、俺には仲間がいた。




いわずもがな、団蔵と金吾だ。




さすがに3年にもなってこのままでは不味いとふんだ俺等は
テスト3日前に教室で勉強をすることに決めた。



教室ならばベットがすぐそこにあるわけでもないので


眠たくなってもすぐに寝ることはない。




初日は英語があるらしいし、


柏木にでも教えてもらえばいいだろうという魂胆だ。













「あれー?団蔵たち帰らないの?」


「熱でもでたか脳筋トリオ。」







放課後にもかかわらず、
教室をでない俺等に声をかけるしんべヱにきり丸。



それに噛み付くのは団蔵だが、



内心では俺も団蔵と同じく叫んでいた。


















要するに、俺等は柏木に


『馬鹿』


と言われてもなんら反論する術すらないのだ。







まったく、教師とは思えん奴だ。




露骨に面倒くさそうな顔してんじゃねぇ!





全力で助けろよ俺たちを!!

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