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「とりあえず英語教えてくれりゃあいいから。」
おい、何でお前はそんなに偉そうなんだ。
シャーペン片手にとんとんと軽く机を叩く佐武。
「むしろもう、答え教えてくれてもいいから。」
『あほか。』
真顔でそう言う皆本の頭を軽くはたいてから、
つきそうになった溜息を飲み込む。
『・・・ったく、とりあえず。範囲わかってんの?』
「知らん。」
「知らないな。」
「わかんねー。」
こいつらめんどくせー
そこからかよ。
『あ゛ーもう、教科書出せ教科書。』
「あー俺、下のロッカーだわ。」
何でだよ。
お前今日、英語授業あっただろ。
何で教室にないの。
「俺、部屋だわ。忘れた。」
もう皆本は問題外だ。
「はっはっは、虎若も金吾も駄目だなぁー
俺はちゃんともってるぜ!」
そういって、ガサゴソと机から加藤が取り出したのは。
『・・・・』
「ホラネー!!俺ってば優等生!!」
『・・・きたねぇ。』
グシャグシャに折り曲がった。
見るも無残な教科書の姿。
『あのさー・・・。君ら本当に勉強する気あんの?』
「あるわけないじゃん!!だから困ってんの!!」
必死の形相でそう、訴えかけてくる加藤に
もうあきれてものも言えなかった。
私一人で面倒見切れる自身がないぞコレ・・・
『まぁ、ぶっちゃけ。英語のテストなんて
本文覚えりゃ点はとれるんだよ。』
だから、とりあえず暗記しろ暗記。
『ホレ、しゃあなしつき合ってやるから、
佐武と皆本も教科書とって来い。』
「うぃーっす・・・」
「はいはい・・・。」
こんな優しい先生いないぞ!
わかってんのかコイツ等!!
唯一、グシャグシャではあるが
教科書を持っていた加藤の席の前に座り、眉間にシワを寄せた。
金曜日だから、コイツラにつき合ってやってもいいかと
ギリギリ思えたのだ。
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