act.12 先生と中間テスト

今週はもうこれで終わり。

金曜日というものは、大抵の人に好かれる曜日であって。


もちろん私もそれの例外ではない。

心なしか体が軽く。

いつもよりも眉間のしわは少ない。・・・と思う。





しかしまぁ、生徒にとって

今週の金曜日ばかりは素直に喜べない。



なぜなら、



『あーい、今日は金曜日ってことで、
   テストまで残すところあと3日しかないから、
          金曜だからってうかれんじゃねぇぞ。
                 しっかり勉学に励んでね。』




そう、つまりはそういうことである。



『特に、英語は初日なんで。みんながんばってねー。』



「・・・なに、その棒読みの応援。」



いつものごとく、不満げにそうつぶやく笹山に

私は多少目線をそらしてぼやく。



『いや、こんなこと言っても正直期待できないな〜と思って。』



「酷いな〜慎せんせー僕たちの信用なさすぎー。」




どの口が言うんだと。
現在進行形でその信用とやらを確実に落としている夢前がぼやく。



『言っとくけどな、まだ授業終わってないから。
     まだSHLだから。携帯いじってんじゃねぇぞ夢前。』



信用されたいならまずソレをしまえソレを。



『じゃ、とりあえず今日はコレでおわり。はい、号令。』



「起立。礼。」



学級委員の黒木が号令をかけるも、まぁまともに
さよならなんて挨拶する奴がいるわけもなく。


ガヤガヤと教室から出て行く生徒たち。



その仲で、ふと、これまためずらしい奴らが

未だに自分の席に着席しているのが見えた。




「あれー?団蔵たち帰らないの?」


「熱でもでたか脳筋トリオ。」



私の気持ちを代弁した福富と摂津の言葉に

加藤は噛み付くように声を上げた。



「うっせー!!今回は俺マジだから!!本気出すから!!」



「最初から本気だしなよ・・・」


白い目で加藤を見る猪名寺。



何の話かいまいちよく分からないけども、


中2かお前は。



「ま、せいぜいがんばれよ。」


「じゃあね〜」


摂津に福富、猪名寺はそういうと教室を出て行く。



静かになった教室にのこったのは


私と、加藤、佐武、皆本。


という、どうにも放課後の教室にはいささか不気味な光景。




何だお前ら。いつもなら、いの一番に教室をすっ飛んでいくくせに。




『何、・・・なんで君ら3人まだ教室にいんの。』



純粋に疑問をぶつければ、


いきなり机に顔を伏せて泣きまねをする加藤。



「部屋で勉強なんて俺できねーもん!!」



遠い目の佐武。


「勉強しようとすると無性に眠たくなるんだよな・・・」


同じく遠い目の皆本。


「勉強する用意をし終わった時点でやる気なくなる・・・」





はぁ・・・




『要するに、教室なら馬鹿でも勉強する気になるってわけね。』







「確かにそうだけども!!」


「酷い!!慎ちゃん!!辛辣!!」


「もうちょっとオブラートに包んで言えよ!」





上から、佐武、加藤、皆本のセリフである。






私は帰っていい?

[ prev / next ]
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -