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「な、何だよ・・・」



急に私が声をかけたからか、

なんにせよ、先ほどの余裕はないらしく
少し焦ったように、敬語も忘れて黒門はそうつぶやいた。



『・・・you are rude.』
(君なんか態度むかつくよね)


「は、?」


あまりにも唐突に、私の口から出たのが英語だったからか

1組の三人は間抜けな声をもらした。




『Can you not hear such a thing, too?』
  (こんなことも聞き取れないの?)



まだ少し唖然としている彼ら、


それから、突然の英語に
おそらくまったく意味も理解できていない
3組の生徒が首をひねる。



『Do you want me to tell you again?』
    (もう一度言おうか?)



大人気ないなとか、少し思いながらも
少し笑みを作って口を開く。


『I'm pissed off.』
  (ムカつく)



「なっ!!」



さすが1組の特進クラスといったところか、

なれない英語発音にひたすら首をかしげる3組とは違い、
意味を理解したのか少し起こったように
形の良い眉を吊り上げた黒門と任暁。



『I dont wanna ruin my day with such shit.』
(こんなつまんないことで時間浪費したくないんだけど)



別に、"低脳"とか言われたから
意地はって英語でしゃべってるわけじゃない。


別に教師としてのプライドがどうのこうのとか言う話じゃないから



違うからね?



しかしまぁ、さすが特進クラスといえども、


大学で留学した本場仕込の英語発音に
英語を専攻して勉強しているわけじゃない彼らには
少々荷が重かったかもしれない。


おおよその内容は理解できているのだろうが、
完璧に理解はできていないらしい。


少し悔しそうに眉を寄せている。



そして、私は追い討ちをかけるようにニヤリと口角を上げた。



『Hey preppy,you still need to study more.』
(ねぇ、坊ちゃん。君はまだまだ勉強不足だ。)



「な、なんだと!!?」




最後はゆっくりと、わざとわかりやすいように言ってやった。

しっかり理解したらしい黒門は
そりゃもう、目を吊り上げて声を荒げた。


そんな様子を唖然と見ている3組の生徒をおしのけ、
教室に入ると、本来の目的であった解答用紙を見つけ


ソレを手に再び教室を出て、怒る1組生徒をよそに
そのまま職員室へと足を動かした。



「あ、おい!!待てよ!!」



とっさに大声を上げる任暁。



少し廊下の先で足を止めて振り返る。



『I have no time to stay and talk to ya.』
(ここでじっとしてあんたと話してる暇ないんだけど)



「慎ちゃんさっきからなんて言ってんの?アレ?」


「えー・・・僕も英語が得意なわけじゃないからわかんないけど」



「テメーらと話してる時間なんてねぇんだよ!!みたいなことだよ!!」




こそこそと疑問を口にする加藤に、
少し困ったような二郭。

そしてなぜかあたっている夢前。



怒ってる1組にくらべて馬鹿丸出しである。



私は今日で何度目かの溜息を小さくついた。




『・・・bye.』



小さく後ろ手に手を振ってそのまま足を動かした。




そうだな。


君らのおかげで私も少しは体育祭が楽しめそうだ。









要するに私も負けず嫌いなんかね?

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