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3−3の教室に近づくにつれ、徐々に騒がしくなっていく廊下。



相変わらず白熱しているようだ。


そんなことを思いながら、教室の前に出る廊下を曲がると・・・



「ハッ!!お前らが俺たちに勝てるわけねぇじゃん!!」


「だからお前たちは低脳なんだよ。お前らごときに
              僕たちがまけるわけがない。」




聞こえてきたのは、なにやら口論。


何事かとそのまま教室へと足を運ぶと、



「へなちょこ1組!!」


「アホの3組。」



納得の組み合わせである。



『ちょい、ちょい、何で喧嘩してんの?コレ』



近くにいた奴ににそう耳打ちをするように言えば、


「あ、慎ちゃん。」


と、ピクリと肩を動かした山村。



「んーいつものことといえばいつものことなんだよねー。」



『はぁ?』



話を聞くに、どうやら体育祭のことで
1組が3組に"宣戦布告"なるものをしたらしい。


そこでくいつく3組の生徒たち。
というのが今の状況ならしい。



『なるほどね・・・』


少しあきれたような表情をみせれば

山村もちょっと困ったように頬をかいた。






『ハイハイ、闘志を燃やすのはいいことだけでもね。
        喧嘩すんのはいかがなもんかと思うよ。』



とりあえず、現状の悪化を避けるために

にらみ合う両者の間にわって入れば



「あ、慎ちゃん。」


「慎?なんでいんの・・・」



と、少し目をまるくする加藤と皆本。


そして、


「あなたは・・・さっきの・・・。」



と、いっそう目つきを鋭くさせる黒門。


どうやら、私が土井先生と一緒にすれ違った1組の
3人のようだ。



『ついさっき振りだね。黒門君に、任暁君に、上ノ島君。』



そういえば、なぜか不満そうに寄せられる眉間のしわ。



『ま、私に免じてここはひとつ穏便に頼むよ。』



めんどくさいので少々なげやりにそう言えば、

わざとらしく溜息をこぼした黒門。



「はぁ・・・さっきは、土井先生もいらっしゃったんで
           遠慮させていただいたんですけど・・・」



何が・・・

つか何の話・・・?



言ってる意味がよく理解できず、
内心?をとばしていると




「僕、あなたのこと好きじゃないんですよね。」



という、心底どうでもいい
私へのコメント。


しかも、なんとも癇に障るあきれたような表情。



まじでコイツいっぺん殴ってもいいかな・・・


『だから?』



無表情にそう答えれば、黒門はひるむこともなく

なおも口を開いた。



「柏木先生っていい噂ないんですよね。
ホラ、元ヤンだとか聞くし。
それに、この前だって足の骨にヒビの入るほどの
大怪我をしたとか・・・
いったいどこで何してたんだか・・・」


ピクリ



自分でも眉間に深くシワが刻み込まれたのが分かった。



「3組の生徒が生徒なら、担任の先生も知れたもんですよね。
                     低脳で野蛮だ。」


少し首を左右に振ってオーバーにリアクションをとりながらも
口を開く黒門の半歩後ろでは

任暁に上ノ島もニヤニヤと癇にさわる笑みを浮かべている。



『お「おい!!お前ら黙って聞いてりゃあ!!
お前ら慎ちゃんの何知ってるって言うんだよ!!
噂話や憶測で、慎ちゃんを悪く言ってんじゃねぇっ!!」、』



何か言ってやろうと、口を開いた私の声を掻き消したのは


加藤の怒鳴り声だった。




驚いた。



大きな声にもだけど、
もっと、そういうんじゃなくて・・・


真剣だった




そう、真剣に加藤は怒ったのだ。



私をかばうように。


「な、」


相手方の1組の三人組。

黒門、任暁、上ノ島も

少し驚いたように小さく目を見開いた。



「この前の怪我だって!!アレはっ、アレは慎ちゃんが!!」



『加藤。』


大きな声を上げる加藤に、
さすがに何かあったのかと、隣の2組の生徒までもが
ワラワラと廊下に顔を出し始めた。


『いいから。』


「だって!!」


熱くなっている加藤の肩をそっと後ろへと押す。


『ちょっと落ち着けってば・・・』


「でもっ・・・」


粘り強く食い下がる加藤に、
少し苦笑いをこぼして頭を軽くなでてやる。


『ありがとな。』


「っ、・・・・」


そうすれば、加藤は少し悔しそうに、悲しそうにうつむいた。


『なぁ』



そして、黒門へと視線をむける。


小さく彼らが肩を揺らしたのが見えた。

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