act.11 先生と体育祭と特進クラス

『はい、つーわけで先週言ってたとおり、今日のLHRは
               体育祭の出場種目決めね。』








「よっしゃあああ!!今年も来たぜ!!この時期が!!」

「おー!!」





いつも以上に騒がしい教室内。
盛り上がる生徒。


私は丸椅子に腰掛け、教卓にひじをついてあくびをかみ殺す。




「はにゃ〜?慎ちゃんなんか退屈そうだね〜」




目を細めて、微笑みながら首を傾げてみる山村。


分かってるじゃないか。



て、まぁこんだけ周りとテンション違うかったら
誰でもそう思うか・・・


少しの間、山村に視線をやってから
手元にある"競技 出場選手"とかかれたプリントに視線を戻した。



『んーだって別に私は生徒じゃないからね。
       誰と張り合うわけでもないし・・・
           なんか盛り上がりに欠けるっていうか・・・』



「よーするに、慎せんせーは行事とか面倒くさいんでしょ?」


二パーっと笑って見せる夢前に私は苦笑いを返す。



『ま、そういうことかね。』



「何しけたこと言ってんだよ柏木。たかが体育祭。
    されど体育祭。教師は蚊帳の外とか思ってんじゃねぇぞ?」



いつの間に前まで来たのか、
佐武が少々気に障るような顔で語りだした。

私の肩になれなれしくも腕を回している。



こいつ。前の遊園地の回から地味になれなれしいんだよね。


「そうそう、クラスの戦いなわけだからなこれは。」


これまたいつのまにか私のそばに立ち、腕をくみ

うんうんと深くうなずく皆本。



おい、だからなんでわざわざ教室の前まで来んの。




「今年も優勝は3組がいただくってわけよ!!」



黒板に汚い字で"必勝"と書いて、
それを大きな音を立てて叩いたのは、いわずもがな加藤である。



何なの。君たち何なの。



加藤の言葉に、またもや一気に盛り上がる教室。



おいおい、これ隣のクラス迷惑してんじゃないの?


また安藤先生に嫌味とかいわれるんじゃないの?


勘弁してくれよ・・・



『あのさ、もう少しボリュームを「よし!今から作戦会議だ。」・・・』




黒板に、加藤とは比べもにならない達筆で種目名を書いていく皆本。



あーそういえば皆本が体育委員会だっけ?




「まずは"3年100m走"か。」


プリントを片手に真剣な表情の加藤。



「ここは、足の速い乱太郎か三治郎・・・と、言いたいところだが。」



皆本もいつもより心なしか目が鋭く光っている。



「一人当たり出られる種目数は決まってるし、
何より"100m走"はそれほど得点の高い種目じゃない・・・」


「そうだな、ここで二人を使うわけには行かない。
                 かといって、遅すぎても困る。」



「ここは無難に伊助でいくか。」



えらく真剣に話し合う脳筋トリオ。


おい、お前らその熱意を、真剣さを少しでいいから
勉強にもってこいよ。



半ばあきれ気味でそんなことを思っていると

結局決まったらしい。
3年100m走の隣に二郭 伊助 の名前が書き足されていた。



「なんか、無難ってちょっと微妙な感じ・・・」



少しふてくされたように唇を尖らす二郭。


しかしまぁ、逆らう気はないようだ。

適役ではあると自分でも少し思っているのだろう。




とりあえず。


私の出番はなさそうだな・・・








この場を仕切る脳筋トリオと

ソレにちょいちょい意見をこぼす生徒たちの声を右から左に



今度はかみ殺すことなくあくびをこぼした。

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