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いつもながら、ただただ何気なく過ぎていく午前をすっとばして

早くも午後、最後のSHL。






『えーっと、そろそろ体育祭も近づいてきたんで
来週あたりに出場競技とか決めるから、なんとなく考えとけよー
まぁ、その前に中間テストもあるんで忘れんように。』



そう言えば、なんだか一気に静かになる教室。

理由を言えば加藤と佐武が一言も言葉を発さなくなったからだ。



逆に「いやだー!!」とか、
叫びまくると思っていた私は少し首をかしげる。



そんな私の様子をさっしたらしい二郭はあきれたように口を開いた。



「先生。本当にやばい時って声も出なくなるもんなんですよ。」



いやいや、それはお前らマジで極限だな・・・



なんとなく後ろ頭をかいて哀れみの視線を向けておいた。




『まぁ、つーわけで今日はもう終わりなんだけど。』



そうつぶやけば終業のチャイム音。
生徒たちもわらわらと席を立ちだす。


『あー福富は今日理科の居残りらしいんで、
            今から科学実験室に行けよー。』



そう大きめに叫べば
ウキウキと、帰ろうとしていた福富の体がピシリと固まった。



「あーこのあいだしんべヱ実験でてなかったから。」


かわいそうに・・・と、猪名寺は福富に哀れみの表情を浮かべる。


「しゃーねぇーなー。」


摂津はニヤニヤと笑みを浮かべて「ドンマイドンマイ」
と、福富の背中をバシバシと叩いた。




「えぇー!!僕今日は早く帰っておやつ食べる予定だったのに!!」




「今日"も"だろ〜」


茶化すように加藤はそう言うと颯爽と教室を出て行った。


ほかの生徒も口々に福富に声をかけて教室を出て行く。



「じゃ、しんべヱ。私たちも先に帰るねー。」



猪名寺と攝津も福富に小さく手を振ると、振り返ることもなく
教室を出て行った。




教室にのこったのはなんとも絶望した表情の福富と
それを見つめる私の二人に。


いや、そんなに落ち込まんでも・・・


補習終わって帰ってから食えばいいじゃんよ。





「柏木先生・・・」



ふいに、神妙な顔をして私の名前を呼ぶ福富。



『なに?』



急にキリッとした福富になんだか分からず聞き返した。












「今日は・・・今日だけは・・・みのがしてください!!」






『は』



はっきりとその旨を伝えると、
福富は普段からは考えられないスピードで教室を飛び出した。





『あぁ!!待て、このやろっ!』




突然の出来事に
すぐには反応できなかった私は慌てて福富の後を追った。



このやろう・・・



福富のくせに。



よく分からないがそんなことを思って走る福富を追いかける。


確かに、福富からは普段は考えられないようなスピードではあるが
彼は体系上。あまり体力もなく、足も速くない。



すぐに追いついた私は、
福富の背中のシャツをつかもうと手を伸ばした。




まだ治りかけだった左足が少し痛んだのは気のせいだと思いたい。

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