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『ほら、ここだからさ。ドア開けてくんない?』




「はい。」






やっとのことでついた職員寮の私の部屋。

監視役としてついてきた猪名寺をさっそく使わせてもらう。




ドアを開けてもらい、中にはいると見慣れた部屋。





「・・・意外に綺麗ですね。」



『意外って・・・まぁ、ね。』


いったい自分は生徒にどんな風に思われていたのか、
少し気になるところもあるが

まぁ、ほうっておく。



「それじゃあ、今日はもう安静にしていてくださいよ。
      くれぐれも部屋から出て立ち歩いたりしないように!」



正直言って、今日は飲みに行くつもりだった。

しかしまぁ、
そんなことを馬鹿正直に猪名寺に話すわけにも行かない。



とりあえず、監視役の猪名寺がいなくなったところで
飲み屋にでも行くか。



ということで、
適当に流しておく。



『はいはい、分かったって。出歩かないって。』



「本当にですよ?」



あまり説得力のない私の言葉に少し不安に思ったのか、
猪名寺は眉を八の字にさせた。



『大丈夫だって。』


そういって、ゴロリとベットに寝転がる。



その様子をみて、大丈夫と判断したのか

もう一度念をおしてから、猪名寺は部屋を出て行った。






『・・・よし、んじゃ小松田さんでもさそって飲みにいくかな。』



体を起こし、小松田さんに連絡でも入れようと携帯を手にした時。













「だから!ダメだって行ったでしょう!!」





『うっわ!!い、猪名寺!?』



驚いたことに、
部屋の扉をバーンという盛大な効果音つきで

いきなりに戻ってきたのは








そう、猪名寺だった。




コ、コイツッ、部屋の外で聞き耳立ててやがったな!?



「やっぱり!見張ってて正解でした!!
そんな足で、飲みになんて行かせませんからね!!」



猪名寺の突然の登場に驚き、
思わず床に落としてしまった私の携帯を
猪名寺は素早く取り上げる。




『ば、ばかやろー!お前マジ何してんの?!
          つか、今日くらい飲みにいかせろ!』



「今日だから、飲みに行かせられないんですよ!!
          足が治ってからいけばいいでしょ!!」



そんなことを言われて簡単に引き下がる私ではない。


むしろ、『なんとしてでも飲みに行ってやる』という
よく分からない闘志が燃え上がった。




『ふっざけんな!行く!お前に私の自由を制限される言われは無い!』



「ありますよ!!怪我してるじゃないですか!」



『お前に関係ないだろ!』



「あります!!私、保険委員ですから!!」



くっそ〜

ああ言えばこう言う・・・



さすが保険委員長というべきか、
なかなかにしぶとい。



人でも殺しそうだといわれるほどの
人相の悪い、この私の鋭い目つきをもってしても

一歩も譲ろうとしない



『このやろー。』



強行突破に出てやろうと、ほとんど体重を左足にかけ
立ち上がったとき、




「あ!、ダメですよ!!」



『なぁっ?!』






『グルン』と




視界が反転した。








『ってーなぁ・・・』



ベットの上なわけだから、たとえ思いっきり倒れても
それほど痛いわけじゃないけど


機嫌があまり良くないので、低い声でそうつぶやいた。




目の前には眉間にシワを寄せた猪名寺。


なんということか、

猪名寺は私の上にのっかり、是が非でも

ベットのから立ち上がらせないつもりだ。



『どけよ馬鹿ヤロー。』



「どきません。柏木先生が寝たらどきます。」




こんな状況で寝れるわけないだろうと思いながら、
この体制をなんとかしようと猪名寺の腕を掴みもがく。



「まだ諦めないんですか!」



『諦めない!テメェみてぇなガリガリのもやしっ子一人
       上にのっかったくらい屁でもねぇよ!』



「強がってるのも今のうちですよ!
男と女じゃ体のつくりが違うんですから!!」



つかみ合いの取っ組み合い。


しかし、やはり
現役男子高校生といったところか、


いくらもやしっ子にみえても力の差があるようだ。

今だマウントポジションを猪名寺に取られたままである。






『くっそ〜!!』


「どきませんからね!!」





本人たちはいたって真剣なのである。


やましい気持ちなどこれっぽちも無い。




断言できる。







「ねぇ」










たとえば、





よくよく考えなくても分かる話だけど、











他人からみたらどういう風にみえんのかね?















「何やってんの乱太郎?」

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