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だまされた―




私の中からそんな考えが消えなかった。




いや、正確にはだまされたわけではない。




遊園地のバイトと聞いて、てっきり受付か何かと

勝手に勘違いしていた私が悪いのである。





まさか、着ぐるみバイトであるとは思うまい・・・・



じゃっかん肩をおとしていると、




「ちょっとちょっと、くまさんしっかりしてよ?
そんなんじゃ子供よってこないから、ホラ、もっと動いて動いて!」




と、園内を見回っている係員の人に小さく囁かれる。



着ぐるみの中で小さくため息をもらしながらも


私は無言で頷いた。





私も小さいころ遊園地に来れば見かけることのあった


かわいらしい着ぐるみ。


あのころはただなんとなく見ていただけだったが、


着ぐるみのバイトがこうも大変だったとは思わなかった・・・・





重い、動きにくい、息がしにくい、視界も狭い、暑い



不満はいくらでも出てきた。





極めつけは子供である。




別に私は子供が嫌いなわけではない



いや、好きでもないけど・・・・





しかし、この着ぐるみのバイトに限っては子供が嫌いだ。




着ぐるみという要素だけで、子供はソレを見逃さない。


つまりは好奇心で色々なことをやってくるのだ・・・






たとえば・・・・






「せいや!!」








『っ〜!!?』






瞬間、私の尻に衝撃が・・・




驚きのあまり、ひざを突いて倒れこむ私、




言わずもがな、カンチョウというやつだ・・・





おのれぇ〜嫁入り前の娘になんてことを!!!!




今にも怒りは爆発しそうだった。



これだからガキは嫌なんだ!!



どこのクソ餓鬼だ!!




そう、思いひざを突いたまま後ろにふりむく。


















「だっはっはっ!!」



「おい、団蔵餓鬼みたいなことすんのやめろよなー
              俺がはずかしいじゃん。」





「んな事言ってっけど虎若、お前顔メッチャにやけてっから
                    !鏡みてみ?!」






















瞬間、起き上がった私がドロップキックをかましたのは言うまでもない

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