act.6 先生と嘘吐き


『げ、タバコの吸殻とか落ちてんじゃん・・・』




そんな小さな呟きとわりと大きくついたため息が静かな廊下に響いた。



しぶしぶと金バサミでタバコの吸殻を拾い上げ、

左手に持ったゴミ袋にそれを入れる。



そしてまたゴミを探して先を行く。



あー・・・




『なんで私がこんなことしてんの・・・・』



返事が返ってくるはずもなく、かわりに
小さな声でつぶやいた自分の声が辺りに響いた。




















笹山に衝撃告白をされた。



あれから数日・・・っていってもせいぜい2、3日


始めは笹山の態度がどうなるのかと少しの好奇心を抱きつつ

次の日の授業に身構えていたのだけども・・・





「なに僕のこと見てんの?気持ち悪いんだけど?」








『・・・あ、ハイ・・・・。』



なんか前と何も変わらなかったので驚いた。

なんというか拍子抜け・・・?



いや、ていうかあいつは二重人格なのか?

と思ってしまうほどに心底嫌そうな顔をしたのだ。




あれ、?好きってなんだっけ・・・




あれ?










まぁ、笹山のことは良く分からないのでスルーすることにする。







ちなみにシャレを言いたいわけではない。









まぁ、要するに2、3日そんなかんじなので

アレは私の夢かはたまた妄想だったのではないかと思う今日この頃。





今日は2限目の1年生の授業しかなかったため、

たまっていた仕事などをぼちぼちやっていた。



だらだらと大分休憩を挟みながらやっていたのがいけなかったのか、


事務員の小松田さんに目をつけられ、
校内の掃除を少し手伝ってくれないかと頼まれてしまったのだ。



なんとまぁ、それを断ることも出来なかったので、

苦笑い気味に了承してしまったのだ。




ちなみに言うと小松田さんとは、
この大川学院で事務員をしている男性のことである。


「一を聞いて十を間違える」などと言われている彼は
仕事の出来なさで有名である。

影ではへっぽこ事務員などと不名誉極まりないことも言われているみたいだ。


そんな彼は私より3つ年上だったりする。




男の人にしてはそれほど高くない身長とか、

どこかまだあどけなさの残る童顔だとか、

少し間の抜けたしゃべり方だとか、

その他もろもろの理由からとてもそんなふうには見えないけども・・・




まぁ、そんな経緯があったため私は今
ゴミ袋と金バサミを手に校内を歩き回っているわけだ。






『あ〜・・・いったん休憩・・・』



掃除を始めておそらく1時間ほど経っただろうか。

5階を歩く道先で階段を見つけた私はそこに座り込んだ。


今はちょうど4限の授業が行われているため、


廊下に人の影はまったくなかった。



ま、こんなところを小松田さんに見られたら怒られるだろうな・・・


そんなことを考えていると、ふと
まだ少し肌寒い風が髪の毛をふわりとなでるように通り抜けた。




どこかの窓があいているのだろうか?

何気なく周りをみわたすと、


私の座る階段の向こう、つまりは屋上の扉が少し開いていた。




『あれ、・・・誰かいんのかな・・・?』



今は授業中だ。

教員の誰かだろうか?




いや、





『まぁ、十中八九サボりだろうな・・・・』



再びため息をもらす。





まったくめんどくさいとこに居合わせたもんだ。

一応教師であるから見過ごすわけにはいかない。




『・・・しゃあないなぁ・・・・』



私は思い腰をあげ、少し開いたその扉にそっと手をかけた。

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