act.5 先生とガキ





後方にあるのはただの無機質な壁


前方にあるのは私に食いつくような鋭い目つきの我が生徒。





そのパッツンの名は、笹山 兵太夫



なんか知らんが初日から敵視されているらしい。

私が君に何をしたって言うんだ・・・



「ねぇ・・・答えなよ、なんでアンタが
             きり丸の部屋から出て来たわけ?」



『あー・・・と・・・看病?・・・みたいな?』




「はぁ?」



盛大に眉間にシワを寄せられた・・・


なんなんだこいつは!!

なんでこんな私に喧嘩腰なわけ!?



完璧不良じゃねぇかコイツ!!


「・・・看病、ねぇ・・・アンタが?」



『だから、そうだって言ってんじゃん・・・
きり丸がうずくまっとったから、私が肩かして
        ここまで連れて来たっつー話・・・。』


なんで良いことしたのに
      こんな疑われて詰め寄られにゃならんのか・・・ 




「・・・ふぅん・・・きり丸・・・ね・・・。」





ぐはぁああ!!目ざとい!!

食いつくとこがいちいち女々しい!!


そしてすこぶるめんどくさい!!






『・・・あのさ、もう行っていいかい?仕事あるから私。』




目をそらし、とにかくこの場から離れようと足を動かそうとした時



近寄ってきた笹山に逃げ道を塞がれた。







・・・顔近い・・・




私の顔のすぐ横には笹山の手。


いわゆる『壁ドン』ってやつ?



いや、少女マンガみたいにキュンキュンするっていうか・・・


カツアゲされてます。の図だこれは明らかに・・・




「女教師のアンタが・・・普通に男子寮くるわけ?
             ちょっと危機感ないんじゃない?」



えぇ〜・・・いや、だってそんな・・・



『私教師だし・・・』



なんとも言えん微妙な顔をしていると



「ばっかじゃないの?歳も近いんだし、
     んなのアイツらに関係あるわけないじゃん。」



あぁ〜確かに・・・主に山村とか、山村とか・・・あと山村とか



「喜三太もだけど、虎若もさ、
           アイツ気に入ったら手だすの早いから。」



ほー佐武か・・・以外〜


ノーマークだったわ〜・・・・



・・・・って



『だから・・・何・・・。』


いや、まじで・・・


なんで年下のこいつに、忠告的な説教的なことされてんの?


なんか状況が意味分かんなくなってきた・・・

いったんおちつこ?


Be cool
Be cool



「何されても知んないって話・・・」




― ゾワリ



う・・・わ・・・


笹山は私の耳元に口をよせ、

バカにしたようにささやいた。



息が、耳にかかる・・・

今、すっごい背中がゾワってした・・・




「あぁ・・・それとも、そういうの期待してた?・・・。」


おい、まじでからかってんなら止めてくれ・・・

心臓に悪いです・・



くそぉ・・・この手の不良にはなれてない・・・



ていうか・・・耳、耳やめろ!!



『おい、それ以上私をバカにしたこと言うんなら、殴るぞ・・・』



いや、マジに顔に血管うかんでる。



ひねくれたヤローだ。

こんな侮辱がゆるされるか?

大人をばかにするのも大概にしろよな・・・




「・・はっ、生徒殴れんの?仮にもアンタ教師っしょ?」


笹山はなおも私の耳元から口を離そうとしない。



「ははっ、アンタ耳弱いんだ・・・
           さっきからずっと肩ゆれてるよ?」




プチッ―



頭の中で、小さく音が聞こえた気がする

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