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『おっしゃ、着いた・・・ほれ、いったん座れ。』



若干汗をかきつつも、なんとか摂津の部屋までたどり着いた。




人数の都合上、彼は一人部屋のようだ。


ベッドの上に摂津を座らせると背負っていたカバンも床に置く。



あ"ぁ〜肩こった・・・



一息ついていると、座っていたはずの摂津がゆっくりと立ち上がる。



『何・・・?』




「俺・・・バイト・・行かなきゃ・・・・。」



その言葉に私はあきれと怒りが湧き起こる。


いつもより、眉間のしわも深いと思う。



『ばっか、お前、病人は寝てろっつーの!!』



でこを手のひらでパシンと軽くおすと、

摂津はふらりと、またベッドへ倒れ込む。


「っ・・・でも・・・。」



『たく、馬鹿な事いってんじゃねぇーぞバイト先には
     私が連絡しといてやるからお前は寝ろ!今すぐ!!』


そういってもまだ不満なのか眉をよせた攝津に
私はまたため息をつく。



『お前なぁ、確かに大変なのは分かるし、金も必要だと思う。

     けどな、お前が体壊したら元も子もねぇだろ・・・。』



摂津も十分気づいてたはずだ。

土井先生や猪名寺たちが心配してたことを、


『・・・猪名寺が笑って許してくれることに甘えてんじゃねぇよ。』



摂津はばつが悪そうに目をそらした。



『お前なら分かるだろ?今フラッフラのその状態でバイト行って、
んで、途中にでもぶっ倒れて何日も寝込むより、

今のうちに寝て一日二日、もしくは三日で直した方が仕事の効率も
良いんだからさ・・・』




そう言ったところで、摂津はやっと頷いた。



「わかった・・・。」



『んじゃ、私が向こうで電話しといてやるから、
                  その間に着替えとけ。』



そう言って摂津からバイト先の電話番号を聞き、摂津の携帯でかけた。










『・・・はい、すいません。ありがとうございます。』



なんともありがたいことに、バイト先の店長はものわかりがよく、

摂津の心配までしてくれた。


やっぱり、バイト先でも疲れが見えていたようだ。




たく、沢山の人に心配かけやがってこいつは・・・



電話を終え、摂津のいる場所へ再びもどる。


ちゃんと着替え終えたみたいで


着替えた格好でベッドの上に胡座をかいていた。



『ん、着替えたんなら寝な。薬、保健室からもらってきてやるから。

         なんか食べたいものとか、飲みたいものある?』



「・・・べつに・・・。」



『遠慮すんなよ。特別に私のおごりだからさ・・・。』




「・・・じゃ、適当に・・・。」




『あっそ・・・。』




そう言って私は摂津の部屋を出る。

なんだか餓鬼みたいな態度で少し笑えた。



というか、猪名寺と私との対応の差がありすぎだろ・・・

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