act.4 先生とドけち




高校時代にはよくあった事なので、正直言ってあまり何も考えていなかった。





いつも通りの時間に職員室に足を運び

他の先生に挨拶をしつつ、

自分の机に向かい、今日必要なものを持って行こうと思った。




『おはようございます。』




「あっ、おはようございます柏木先生。昨日は・・・・」





だから、土井先生が私の顔を見て険しい表情を浮かべた理由がまるで分からなかった。



「柏木先生!!」




『はっ、はい・・・なんでしょう・・・。』


一気に距離をつめられ、顔をずいっと、近づけられた。


ち、近い・・・

そして土井先生の顔が怖い・・・




「その顔は!!?」



はて、私の顔に何かついていただろうか・・・


一瞬首を傾げて苦笑いを浮かべたところで、
口元に笑みを浮かべたせいで頬が引っ張られ

ピリリとした少しの痛みに気がついた。

そこには少し大きめのガーゼをはっていたと思う。



『あ、えと・・・怪我しました・・・。』




「そんなこと見りゃあ分かりますよ!!そう言う事じゃなくて!!」



あまりにも必死な形相の土井先生に、私の頬は余計に引きつった。



「昨日の帰りに何かあったんですか?!」




いや、あったにはあった・・・

しかし、どう説明すればいいのだろう・・・


本当のことを言ってしまえば私は教師として失格だし
クビになってしまうのではないかと思ってしまう。


だってまぁ、暴力事件ですよね。

正当防衛?かもしれないけど・・・

他校の生徒を殴りましたなんて、あまり言う気になれなかった。



困ったように口ごもっていると土井先生もそれを察したのか

渋い顔をしつつも少し引き下がった。



「はぁ・・・やっぱりあの時私が無理にでも
         あなたを送っていくべきでしたね・・・。」




『いやぁ・・・なんかすみません・・・。』



少し目をそらしながら頭をかいていると



「どうしてあやまるんですか!!」


さらに怒鳴られてしまった・・・


「大体あなたは女性なんですから!!怪我、ましてや顔に!!」



『すっすいません』


「だから何で謝るんですか!!」


いや、なんとなく・・・

ていうか、土井先生が怒ってるみたいなんでとりあえず・・・



「・・・いくらこのあたりが田舎でも、少し行けば色々と
    にぎわっている町もありますし、気をつけてください!」




『すみません』



「だから・・・!!」


『や、じゃなくて・・・えと・・・ありがとうございます。』



謝ればさらに怒られるので御礼を言ってみれば

土井先生は少しぽかんとした表情を浮かべた。


あれ、なにか選択肢を誤っただろうか?



『あの・・・心配してくださったみたいなんで・・・?』




「・・・なんでそこ疑問系なんですか・・・。」


『な、なんとなく・・・』




少し笑って見せた土井先生の表情にとりあえずほっとする。

こんどから怒らせないようにしよう・・・



「そういえば、柏木先生3−3が今日1限英語でしたね。」


『あっ、そうだった・・・すみません。そろそろ行きます・・・。』




「いや、こちらこそ引き止めてしまってすいません。」




『それじゃ。』




私は自分の机から必要なものを手に取ると
土井先生に小さく頭をさげ、
そそくさと職員室から逃げ出すように出て行った。



いや、特進科の安藤先生のうるさいといわんばかりの
表情を向けられていたもんだからね。



よし、とりあえず教室にいったら念のため皆本に口止めしとこ

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