act.3.5 不良と災難

「「「「今日はよろしくおねがいしま〜す。」」」」


「うん。よろしくね〜」

「よろしく。」

「マジよろしくおねがいします!!」

「・・・・。」






「みなさんって、どこの学校なんですか?」


「僕たちは大川学園で〜す!」


「えぇ〜そうなんだ!」



「俺ら男子校だからさ、君らみたいな可愛い子と
              なかなか縁がないんだよなぁ〜」



「「「「きゃ〜」」」」




「・・・・。」




「じゃあさ、みんな何飲む?」


「俺コーラ!」

「僕ウーロン茶で。」



「あたしミルクティーで。」

「私は紅茶でお願いします。」

「私もコーラで。」

「私は麦茶で。」





「金吾は?」




「・・・じゃあ緑茶で。」



「はいは〜い。OK〜」




ていうか・・・




なんで・・・




「なんでこうなったんだ・・・・。」



「仕方ないじゃん。なんか知んないけど、
        今日は珍しく喜三太が合コン来ないって言うから。」



「めずらしいこともあるよなぁー女好きの喜三太がさぁ〜」



「ま、団蔵はいつも通りで安心したけどね・・・。」



「まぁなー!!」



「別にほめてないけど・・・。」



何故か知らないが、喜三太が合コンに来ない代わりに
俺が無理やり人数あわせのために連れてこられた。



「いやまぁ〜さぁ、僕も金吾が合コンとか好きじゃないの
                  知ってるけどさぁ〜」


「虎若に断られたからね。
  あとはもう金吾しかいないなってなったんだよ。」


「そうそう、兵太夫が金吾なら押したらいけるとかいってさぁ〜」

「やめろよ団蔵、なんか僕が悪いみたいじゃん。
           最初に金吾の名前をだしたのは三治郎だし。」



いや、誰でもいいけど
兵太夫・・・

お前の「金吾は押したらいける」ってその発言の方が明らか問題だろ!


「ったく・・・。」


「まぁまぁ、今日くらい楽しんでってよ!合コンって楽しーじゃん!」


「女の子に気つかわせんじゃねぇぞ金吾!!」



団蔵は久しぶりの合コンでか、すこぶるテンションが高い。
正直言ってうっとおしいくらいだ。



「じゃあ、早速席替えしちゃう?」



「「「「おー!!」」」」



さっき三治郎が言ってた通り、俺は合コンとかがあまり好きじゃない。
なんかこう、テンションについていけない。




「てかさ、今回のマジレベル高くね?やばくね?」



「ま、僕が集めたメンバーだからね。」

「ぐあぁぁぁさすが兵太夫様!!よっ、オシャレ番長!!」



なんだよ、オシャレ番長って・・・



「あの、お隣失礼します。」


「え、あぁうん。」



わけもわからず空気に呑まれているうちに席替えが終了していたらしい。

俺の隣に女の子が座っていた。


「私、桃子っていいます。」


「あー・・・俺は金吾。よろしく・・・。」


なれないことに少し戸惑い、ギクシャクとした俺の自己紹介にも
嫌な顔せず、にこりと笑ってくれるこの子は確かにかわいい。


団蔵がレベルが高いといっていたのにも頷ける。


しかし、いかんせん俺は女の子というものが苦手だったりする。
なんかどう扱っていいか分からないのだ。


俺は剣道やってるから、話題なんてそんなのしか出せないし、
しかし向こうはどうだ、剣道の話なんかしても
絶対につまらない。100%退屈にさせてしまう。

かといって、他に話題があるわけどもなく。
考えていると


「なんかあの人無口・・・私のこと嫌いなのかな・・・」


的展開になってしまうのだ。

そして今回も例のごとく何か話題はないかと頭を悩ませていると・・・


「あの、金吾君って何かスポーツとかやってるの?」


と、まさかの向こうから話題を降ってきてくれた。

しかしこの話題はまずい気がする。

だってもう明らか

スポーツ⇒剣道やってる⇒話題が剣道一色に⇒つまんねぇ〜

っていう道筋が立っている。
女の子の詰まらなさそうな表情が目に浮かぶのだ。


「えっと、俺は剣道やってるけど・・・。」



「わぁ〜すごいねぇ、だからそんなに体格良いんだ!」


「そっかな?」


「うん。すっごく筋肉もついてるし!」



「金吾は剣道結構強いんだぜー」


「そうそう、去年もインターハイとか個人の部ででてたしね〜」


ここで団蔵と三治郎が会話を盛り上げてくれた。

おぉ、なんとかあの負の方程式が立たないようになっている!!



「へぇ〜インターハイ!?すご〜い!!」



まわりからも、すご〜いだのかっこいい〜だの
賞賛の声が聞こえてくる。

なんかこうも面と向かって褒められんのは照れるな・・・



「ねぇ・・・ちょっと筋肉触ってみてもいいかな?」


そう、控えめに言ってきたのは俺の隣にすわる桃子ちゃん。


「ん。いいよ。」


そういって俺は腕をまくってみせる。



すると彼女は眼を輝かせてそっと俺の腕に触れてみる。

「うわぁ!!硬い、すごい!!」


これはさすがに可愛いな。と思ってしまった。










そんなこんなで時刻は9時30分。

そろそろ合コンもお開きで、

男共が女の子を送って行くことに。


そしてまぁ俺は桃子ちゃんを送ることになった。





「ごめんね。送ってもらっちゃって・・・。」


「いや、全然いいよ。
俺らだって女の子をこんな時間に一人で歩かすわけにはいかないし。」



「ふふっ、金吾君と一緒だったら不審者が現れても安心だね。」

そんな風に笑う彼女は本当に可愛いし、いい子だ。

しかし、俺としてはやっぱり色々と気を使ってしまって疲れる。
女の子ってすぐに泣くイメージがあるからだ。

なにを言ったら泣かれるかわかったもんじゃない。

そんなことを思ってヒヤヒヤしながらも。

彼女が話題を振ってくれるおかげで
なんとか楽しく話しながら送って行くことが出来ていた。



「あ、もうそろそろ家の近くだよ。ここからは明るいし、
                人も沢山いるから大丈夫。」



「いいよ、最後まで送るから。」


「えぇ・・・ホント?迷惑じゃないかな?」

「大丈夫だから。」



「・・・ありがとう!」


そんな話をして、少し止めていた足を再び動かそうとした時。




「あぁん?てめぇ大川の皆本だろ?」




聞こえてきたのは低い男の声。


「てめぇ、この前はよくも俺らのダチ殴ってくれたなぁ?」


俺の周りを囲むようにぞろぞろと男たちが出てくる。


「今日は加藤と佐武がいねぇみてぇだな・・・。」



「俺らにとっちゃあ好都合ってか?」


ゲハハハハッっとがらがらの声で笑う男たちに
        俺の横にいた桃子ちゃんはカタカタと体を震わせる。


「ていうかコイツ女連れじゃん。」

「けっこう可愛いじゃん。」



「きゃあああああ!?」


男たちに値踏みされるように見られた桃子ちゃんは
恐怖に耐え切れなかったのか、逃げるように走り出してしまった。


「あーあぁ〜逃げられちゃったじゃねぇ〜か。」


下品に笑うこいつたちを見て、
彼女が逃げてくれたことに内心ほっとする。


怖い思いさせて申し訳なかったな。

やっぱり合コンなんか来るんじゃなかった


そんな後悔をしていると、男達の中のひとりが俺に殴りかかってくる。


「オラァッ!!」


とっさのことに俺は慌ててよける。

いくら俺でも、この人数を一人では少し無理がある。
寮に向かって逃げたほうが得策だ。



俺はもう一人が殴りかかってくるのをよけてから
開いた隙間を縫って逃げ出した。



「おい!!逃がすんじゃねぇぞ!!」






くそ、厄介なことになった。

















慌てて逃げ出した俺が柏木に出会うまであと少し

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