act.3 先生と不良


新学期から二日目。



んで最初の授業もやっとこさ終わり、
色々とめんどくさい一日だった。


まぁ、そんなこんなで夜になり、時刻はちょうど九時ごろ。


最初の授業を終えたということで、同じ学年担当の先生である。

土井先生と山田先生に私は飲みに連れて行ってもらっていた。




「柏木さん。どうでしたか3−3組の連中は?」



こちらのダンディーなおひげの方は山田先生。



『あぁー・・・正直言ってめっちゃめんどいっすね・・・。』




「ははっ、柏木先生正直ですね・・・」


そしてこの苦笑いすら爽やかに見える美男子は土井先生。



『まぁ、とりあえず授業がうるさいのなんのって・・・特に加藤。』




「あぁー・・・団蔵はなぁ・・・。」



土井先生もものすごく理解出来るようで深くうなずいてくれる。


「でも、二郭とか、猪名寺とかいい子もいますね。特に黒木。」



「あぁ、庄左ヱ門はずばぬけていますからなぁ・・・。」



山田先生はビールを一口含んでからしみじみとつぶやいた。



『しかしまぁ、なんで黒木みたいな優秀な子が
           特進クラスじゃないんですかね・・・?』



「あぁ、それは私も思っていましたよ。」


土井先生は苦笑いを浮かべながら話を続ける。



「でも3組は庄左ヱ門みたいなやつが一人いてちょうどいいんですよね。」

「そうだよなぁ・・・庄左ヱ門がいなきゃ3組はちょっとなぁ・・・。」


どこか遠い目をしていう二人にわたしも

確かにな・・・と納得する。



黒木がいて3組は絶妙にバランスが取れているのだ。


そう考えるとクラス分けをした学園長もよくやったもんだと思う。


しかしまぁ、ああも問題児だらけというのもほんとうにめんどくさい。



そしてこれから主に私と土井先生の愚痴大会が始まるのである。










時刻は現在10時ごろ。


あれから1時間ほど先生方とおしゃべりをしつつ飲んでいたのだが



まぁ、明日も授業があるわけで、これ以上飲むのもアレだな

というわけでお開きになり、

そのまま職員寮に帰るという二人に
私は少し酔いを醒ますために寄り道してから帰ると、いって別れた。


女性一人でこんな時間に、と若干心配もしてくれたが

これでもまぁ大人なんで大丈夫だと伝えておいた。



それに、なんと言うかまぁ、本音をこぼすと

一人で歩きたかったのだ。



特に理由はないけれど・・・

疲れている時こそ一人でいたいと私は思うのである。


他人に気をつかっては余計に疲れてしまうから。
ただそれだけである。





「あぁ〜・・・飲みすぎたかな・・・若干フラフラする。」


こりゃあ早めに帰って寝たほうがいいな。

そう思いながらも道を一人ぽつんと歩く。



不意に空を見上げてみると・・・

こりゃまぁびっくり。


星が沢山見えた。


『うわ・・・すご・・・。』



正直言って学園が建っているところは結構田舎だ。
ゆえに夜は本当に暗く、その代わり星が沢山見える。




視線を上に、沢山の輝いた星を視界に入れながら歩いていたせいか

曲がり角でものすごい衝撃に、私はしりもちをついた。


『って・・・』



暗くて誰だか顔もまったく分からないが、
どうやら人にぶつかってしまったようだ。


しまった、完全に私の不注意である。




『あー・・・えと、すいません。余所見してました。』


向こうもしりもちをついているらしい。
あまり大きくないシルエットでそんなことが分かった。


ケツについた砂埃をはらいながら立ち上がってみる。

しかし、向こうからはなんの反応もなかった。



『あの・・・』



しかし、耳をこらしてみるとハァハァと少し荒い息遣いが聞こえた。


走っていたのだろうか。
肩も上下している。




「おい!見つけたぞ!!」


ふいに大きな声が聞こえた。


男のものだ。


声の方へ視線を向けると夜道を照らすライトが見えた。
それは明らかにこっちへ向かってきている。


『なんだ・・・?』



そう、小さくつぶやいて目を凝らしてみる。


どうやら男が数人こちらへ向かってきているようだった。


誰かを追っているようだ。



おそらく追われているのは私の目の前にいる・・・




『あんた何したの・・・・って、皆本?』







そう、私のクラスの3年3組の生徒である皆本金吾だった。

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