6


「ほら、やっぱ喜三太じゃん。何してんの?」







「馬鹿団蔵。隣見ろよ、女いんだろ。つまりは・・・・そういうことだ。」








「ていうか、喜三太って今フリーじゃなかった?」
















加藤に摂津、笹山という謎メン。










なんでお前らこうタイミングが悪いんだよ・・・・












「うお、てかやばくね?なんか雰囲気エロくね?」



「あーなんか虎若とかも好きそー保険医的な?」

















聞こえてんだよバカヤローコレがもし本当に山村の彼女だったら




そく張った押されてたぞアホども。












ずっと背を向けているのも不自然なので、仕方が無く振り向けば






まぁ、もう見知った顔が三人。








穴があくほどの視線に居心地がすこぶる悪く、視線をそらす。










バレてないよねこれ。大丈夫だよね。











「喜三太の新しい彼女さんですか。」









そりゃあもうガン見である。








ガン見の加藤にたじろきながら、どうするべきか、



とりあえず口を開く。









『え、えと・・・・・』




























どうしたもんかと頭を悩ませていると、
































「・・・つーか、柏木じゃね?」



















『「「は」」』













摂津の声に、思わず私ともども加藤と笹山が声を漏らした。


















『な、なに言ってんの!?だ、誰だか知らないですけども、

ひ、人違いじゃありません?』











「・・・確かに、柏木の声だ・・・。」









ば、ばかー!!



私のばかやろー!!






声、そうか!!声じゃん!!





声くらい変えろよ!!










嘘だろおい、まさかの変装無意味!?














「う、え?ま、マジで!?慎ちゃん?!な、なんで!?」







口をパクパクとさせて目を丸くした加藤が、私を見て指差す。















『・・・あー・・・嘘だろ・・・』











思わず頭を抱えれば、確信した三人が




山村と私のほうへと詰め寄ってきた。










「なに!?なんなの!?なんで喜三太といんの!?つか、そのかっこう!!」









うるさく質問攻めの加藤から少しでも離れるため、






山村の手を離して、もっと道の横に寄るも、お構いなしに


さっきよりを縮める三人組。








『お、お前らこそなんでいんの・・・つか、どういう組み合わせだよ・・・』








「それ、めちゃくちゃ俺らの台詞だけどな。
ま、俺は近頃団蔵の日課になりつつあるナンパの付き添い。」






「そんで、その二人に休日の買い物中だった僕が偶然会ったってだけ。」









「俺らより慎ちゃんと喜三太だろ!!つかそのかっこう!!」










もう、ものすごく私の服装にかんして疑問があるらしい加藤は






「スカートとかはいてる!!?」





などと、なぜかものすごくあせっている。













『な、なんでもよくない?』









「よくねーだろ。んー・・・黒縁ってやっぱいいよな・・・」










詰め寄って私の眼鏡を勝手に取った摂津は、それを自分にかけなおして



ニヤリとニヒルな笑みを浮かべた。








『に、似合ってるね。それ。』






「そりゃ、どーも。アンタも結構似合ってたよ。」








苦し紛れにそうこぼせば余裕綽々の返事がかえってくる。











「髪、長いとずいぶん雰囲気ちがうよね。」








またもや近い距離にいる笹山が、私の髪。



ウィッグを一房とって見せる。








『こ、高校時代はながかったんだよねー』






「ふーん。結構似合ってるし、見てみたかったかも。」












だ、だめだ、





苦し紛れに話題をそらそうとしても、臭いほめ言葉しか返ってこない。













身長の高い男にこうも囲まれている私は、

はたからみればなんと異常な状況だろうか。














ちょ、ちょまてよ!!







あせりながらも、この無駄にでかい三人の間をぬって見える、



めずらしく無表情のままの山村に助けを求めるように視線をおくる。















「・・・いつもより、なんか良い匂いがする。」








そんなことをするも、不意に首元に降りてきた笹山顔に驚き、



肩を震わせる。










『ちょ、たんまたんま!!セクハラ!!セクシャルハラスメント!!』











笹山の顔を手で押しのけるも、反対側から加藤も参戦。









「ほんとだ。良い匂いだ。」










や、やめろ!!






そのままプチパニックになっていると、ふいにグッと手が





後ろに強い力で引かれる










『うおっ、』














よろけるも、ポスリ、と背中から抱きしめるように支えられた。











『や、山村・・・?』








思わず顔を見上げてこぼれた呟きに、



山村は、ぐっと眉間にしわを寄せた。



















「今日は、喜三太。でしょ?」
















耳元でささやかれた低い声に、一瞬頭が真っ白になる。


















三人組が、息を呑むようにこっちを見ているのが分かる。














山村は、私の耳から顔を遠ざけると、





















そのまま、さらにグッと距離が近くなった。














なにが起こったのか、理解する前に






唇に何かやわらかいものを押し付けられた感覚と



少し遅れてやってきたリップ音。
















それはもう、わざと立てられた音に





理解してから私は不可抗力で頬が熱くなるのを感じた。










「ごめんね。今日は僕のだから、触らせてあげない。」










置いてきた三人の顔を見ることも無く、私は山村に引っ張られたままだった。






おちつけ、一回止まってくれこの心臓!



いや、やっぱ止まっちゃ駄目だ

[ prev / next ]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -