「後半は疑わしいもんだなぁ」


真夜中の2時頃。

第七十四層の森林部にて。






腰まである長い黒髪


そして膝上まである黒のブーツ


さらに黒のキャミソールの上から黒のマントを羽織ったまさしく黒ずくめの少女――シエル――は眼前に曲刀とバックラーを持って眼前に立ちはだかるモンスター、リザードマンロードと対峙していた。

この世界での死は、現実世界での死を意味する。



故に一瞬たりとも気を抜けない。



シエルは腰に下げている愛刀『朧蝶』の柄に手をかけ、腰を低く落とした。


すでに今までの戦闘で相手のHPはかなり減ってる。




(…次の一撃で、決める)



「ぐるぅあ!!」

凄まじい咆哮と共に突然リザードマンロードが地を蹴った。


遠間からシミターが鋭い円弧を描いてシエルの懐に飛び込んでくる。

空中に鮮やかなオレンジ色の奇跡が眩く輝く。

曲刀カテゴリに属する上位ソードスキル、《フェル・クレセント》。

射程四メートルを〇・四秒で詰めてくる、優秀な突進技。


しかし、敵のAI学習をわざと誘導し、その攻撃を読んでいたシエルはパラメータ補正で上昇した身体能力を使い宙返りの要領でその攻撃をかわすと一気にリザードマンロードの背後からソードスキルの一種である居合いを放った。




シエルの攻撃をもろに受けた相手は一気に残りHPを減らし

ガラス塊を割り砕くような大音響と共に、微細なポリゴンのカケラとなって爆散した。



相手の攻撃をかわし攻撃に繋げた動きはまさにシエルの二つ名『黒蝶』に恥じない、蝶のような鮮やかさと軽やかさ、そして蝶が併せ持つ優雅さを体現しているようだった。




爆散したポリゴンの名残を無表情に見つめているシエルの目には








――いずれ、このHPバーがすべて無くなったらあたしも、こうやって消える…





自身が倒し、消えた相手にいつか来るかもしれない、自分がポリゴンのカケラとなって消える姿を重ねているようだった。








しかし、それは一瞬のことで。

次の瞬間にはシエルは通路の壁に凭れそのまま座り込み、今日(といってももうすぐ夜明けだが)の入手アイテムを整理すべく、メニューウインドウを呼び出し、アイテム覧をチェックしていた。




シエルは情報屋をしている。

あらゆるコネクトを使ってさまざまな情報を仕入れ、このゲーム――SAO…ソードアート・オンライン…――のユーザー達にその情報を提供している。

もちろん、有料だが。


そしてシエルは情報屋を営む反面、俗に言う攻略組として各フロアの攻略をほぼソロプレイで行っている。

情報屋としても、ソロプレイヤーとしてもそこそこ名の知れたシエルであるが、やはり有名なのは


個人ギルドとしてシエルがたてた情報屋『黒月黒蝶』の『黒蝶』のほうだろう。









「………そろそろ帰ろうかな」


おもむろに立ち上がりシエルは出口を目指して歩き始める事にする。

そろそろ帰らねば、情報屋として活動する前に休む時間がなくなってしまう。



さて、今日は何処へ行って情報収集をしようか。


そんなことを考えながらシエルは歩き始めた。


SAOの正式サービスが開始された日、ベータテスト者として運よく当選し、ベータテストが終わって今まで育ててきたデータが消えてかなりのショックだった遡羅もサービス開始時間ぴったりにゲームへログインした。



ナーヴギアという脳に直接情報を送り込みゲームをまるで自分自身がその場でプレイしている様な体験ができるハードが開発されたというものの、当初はパズルゲームはリズムゲームなどというパッとしないソフトしか登場してこなかった。

そこに現れたのがVRMMORPGというジャンルだった。
これは仮想空間を舞台としたRPGであり、世のゲーマー達からは究極のRPGを体現したゲームといわれ、多くの期待を集めた。


そして満を期して発表されたのがSAO――ソードアート・オンライン――であった。


ゲームの舞台は百にも及ぶ階層を持つ巨大な浮遊城。

草原や森、町、村までもが存在するその層を、プレイヤー達は武器一本を頼りに駆け抜ける。
上層への通路を見出し、強力な守護モンスターを倒してひたすら城の頂上を目指してゆく。





魔法の要素は一切なく、変わりに<剣技――ソードスキル――>というものが無限に近い数設定されている。


スキルは戦闘用以外にも鍛冶などの創造系、料理や釣り、音楽などの日常系まで多岐にわたり、その気になれば家を買い、自給自足の生活だってできるのだ。






























そして。

正式サービス内でのログインを果たし自ら作り上げたアバター…シエルとしてSAOの世界に戻ってきた遡羅は広大な草原フィールドでフレンジーボアという青いイノシシの姿をしたモンスターと戦闘中であった。




はじまりの街・西フィールドに生息するこのモンスターは突進だけの攻撃なのでレベルが低くても慣れれば簡単に倒すことができる。




シエルは曲刀を中段に構た。


ゆっくりと深呼吸をする。




腰を低く落とし、右肩に担ぐように剣を持ち上げた。



その動作により規定モーションが検出され、曲刀の刃がギラリとオレンジ色に輝いた。


『はぁっ!』


滑らかな動きで地を蹴ったシエル。

しゅぎゅーん!

という効果音が響き渡り、刃が炎色の奇跡を宙に描いた。





この曲刀の基本技<リーバー>が青イノシシの首にクリーンヒットし、HPを吹き飛ばした。


断末魔と共に青イノシシがガラスのように砕け散り、シエルの目の前に紫色のフォントで加算経験値の数字が浮かびあがった。



『…よし。』

かすかな達成感と共に曲刀をしまい、そろそろログアウトしようかとメニューウインドウを呼び出す。





なんだかんだで現在の時間は17時。正式サービスが開始される日…つまり今日が日曜日だったためサービス開始時間の午後1時ぴったりからログインいていたため、少し疲れていたりもする。



(それに、明日の学校の準備もしなきゃいけないしね…。……宿題終わってないし。)


ベータテストのときから慣れている動作でログアウトを命じるボタンを押そうとして、違和感を感じたシエル。






『……!…、ログアウトボタンが……ない…?』





まさか、と思った。


午後1時にログインした時にはあったのだ。


メニュー欄の一番下、そこにログアウトボタンはある。


しかし何度見直してみてもそこにログアウトボタンは存在していない。


『えぇー…。どういう事…。』


少々眉根を寄せながらシエルは思案する。

(他にログアウトする方法…)


1.メニューウインドウを開く。

2.ログアウトボタンに触れる。

3.右側に浮かぶ確認ダイアログボックスのイエスボタンを押すだけ!



『…ちょっと待てよ…。』

ここまで思案しシエルは気がつく。













他のログアウトの方法を、シエルは知らない。



こちらにログインする前によんだマニュアルにも他の方法は書いていなかった。





『システムバグかな…。だとしたらそのうち回復するかも知れないし。もう少し待ってみるか』




空は真っ赤な夕焼け。
広大な草原に反射する太陽の光があまりにも美しすぎて言葉を失ってしまう。














































そして直後、辺りに響いたのはシエルを含め多くの人たちの精神を閉じ込めたデスゲームの始まりの、鐘だった……



鐘の音が響いた直後、青い光の柱がシエルを包んだ。

この現象はベータテストの時何度も体験している。
<転移――テレポート――>だ。



(何故、何もアイテムを使っていないのに?)




運営側による強制移動だとしても、何故何のアナウンスも無しに…?



そこまでシエルが考えたとき、彼女を包む光が一際強く脈打ち、シエルの視界を奪った。












青の輝きが薄れたのを感じシエルが目を開くとそこはさっきまでいた草原ではなかった。



『始まりの街…?』


あたりを見回すと周りにも沢山の人がひしめいている。

どうやら皆もシエルと同じように強制移動させられたらしい。


(さてさて、どういう事かな)


考えをまとめようとした時、シエルの隣に立っていた男が声を上げた。


「あっ……!上を見ろ!」

それにつられてシエルやこの場にいたプレイヤーも反射的に上を見上げる。

そこに、シエルは――いや、この場にいた全員が異様なモノを見た。













百メートル上空、第二層の底を真紅の市松模様が染め上げてゆく。


よくよく見ればそれは二つの英文が交互にパターン表示されているものだった。



それは異常とシステムアナウンスを告げるもので。

『…ようやくシステムアナウンスがあるのね』


それを見たシエルは肩の力を抜きかけた。





広場のざわめきが終息し、皆が耳をそばだてる気配が満ちた。



けれども、続いた現象はシエルの期待を裏切るものであった。



空の市松模様がどろり、と雫のように垂れ下がった、と思ったら、そこに出現したのは


身長二メートルはあろうか、という足も、顔も体もない真紅のフード付きローブ(手袋装着ver.)だった。




その紅いローブにシエルは見覚えがあった。

ベータテストのとき、アーガスの社員が勤めるGMが必ず纏っていた衣装だ。




しかし、それらはアバターがいた。

この、目の前の巨大なローブのように中身が無い、なんて状態は無かった。


そのことがいっそうシエルに不安感を抱かせた。




周囲のプレイヤー達も同様らしく、「あれ、ゲームマスター?」「何で顔無いの?」などといった声がそこかしこから湧き上がっていた。




すると突然巨大なローブは両手(といっても白の手袋だが)を左右に広げ、顔の無い何者かが口を開いた…ような気がした



そして低く落ち着いた、よく通る男が遥か頭上から降り注いだ。








<プレイヤーの諸君。私の世界へようこそ>



シエルはとっさに言葉の意味を理解できなかった。


(「私の世界」?どういう事)



考えこむシエルの耳に新たな言葉が流れてくる。




<私の名前は茅場晶彦。いまやこの世界をコントロールできる唯一の人間だ>



『へ…?』


驚愕のあまりシエルは間の抜けた声を漏らしてしまう。

茅場晶彦。

SAO開発ディレクターと同時にこのゲームを動かしているナーヴギアそのものの基礎設計者。



その彼らしきローブが続いて発した言葉は


ログアウトボタンが無いのはこのゲーム本来の使用である、という事と







<ナーヴギアの十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク切断、本体のロック解除または分解または破壊の試み―以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される>


というものだった。


ちなみに現在、二百十三名が上記のいずれかの条件により死亡しているらしい。




はは、なにこれ、笑える。


ははは…はは…、



『…嘘でしょ』



(すでに、二百十三人も、死んだ―?)




そしてなお、続けられる茅場の言葉。



現在ではマスコミなどからこの情報が流され、外部からの影響による死亡率は格段に下がっていること。
二時間の回線切断猶予時間のうちに病院などの施設などへ搬送され、肉体は厳重な介護体勢の下に置かれるはずだ。という事。

だから



<諸君には、安心して……ゲーム攻略に励んでほしい>

そういった。


すると突然どこかで鋭い声が上がった。

「なっ…!何を言っているんだ!ゲームを攻略しろだと!?ログアウト不能の状況で、呑気に遊べって言っているのか!?」

どこかで叫んでいる誰かはさらに続けた。

「こんなの、もうゲームでも何でもないだろうが!」



(…確かに、そうだ)



シエルはひそかにその少年に同意する。
おそらくこの広場にいるプレイヤー何人かもそうだろう。


そして、またしても何処かの誰かの叫びが聞こえたかのように。

茅場晶彦の、抑揚の薄い声が、穏やかに告げた。


<しかし、十分に留意してもらいたい。諸君にとって《ソードアート・オンライン》はすでに、ただのゲームではない。もうひとつの現実というべき存在だ。……今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に…………>












<諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される>























『………馬鹿みたい』


HPが0になったら現実世界でも死ぬ?

そんなの――













「こんなの、もうゲームでも何でもないだろうが!」







先ほどの誰かの言葉のままじゃないか。


いま、シエルの視界左上には細い横線が青く輝いている。
視線を合わせると、その上に340/340という数字がオーバーレイ表示される。


ヒットポイント。命の残量。

これがなくなったらシエルは死ぬ。

そう、茅場は言ったのだ。




(確かにこれは、ゲーム…。命のかかった……“デスゲーム”)



シエルはベータテスト中に百五十回は死んだ。
広場北に見える黒鉄宮という宮殿で蘇生し、また戦場へ戻った。


RPGというものはそういうものだ。

死んで、学習して、プレイヤースキルを高めていく…

シエルはそう思っていた。








でも。それが、できない―――?


一度の死亡で本物の命まで失い、…途中でやめることができない?

軽い混乱状況のなかでシエルは思う。



(そんな状況の中で危険なフィールドに出て行く人なんているの…?プレイヤー全員が安全圏に引きこもるに決まってる…)



しかし、そんなシエルの思考に追い討ちを掛けるように茅場が続けた。


<諸君がゲームから解放される条件はたった一つ。アインクラッド最上部へたどり着き、そこで最終ボスを倒しゲームをクリアすればいい。その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保障しよう>







しん、と広場の全員が静まりかえった。

最上部へたどり着く…


それすなわち。




『百層…まで行かなきゃ行けないって事?』



そんなの、無理…というか途方も無い時間を要するに決まっている。


ベータテストのときもろくに進むことができなかったのだから。





そして。
シエルと他のプレイヤーの思考を先回りしまくる紅いローブが一切の感情をそぎ落とした声でつげた。



<それでは最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実である証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給え。>



それを聞くやシエルはアイテムメニューを開き持ち物を確認した。


するとアイテム欄の一番上にそれはあった。



アイテム名は…



『手鏡?』



とりあえずそれをシエルはオブジェクト化させ、手に持つ。


特になにも起こらない。

それを覗き込み映るのは、苦労して彼女が作り上げたアバターの顔。





『どういうこと?』


こてん、と一人、シエルが首をかしげた。

――と、突然周りのプレイヤーたちのアバターを白い光が包み込んだ。


それはシエルも例外ではなくて。


2、3秒して光が収まり再度鏡を覗き込んでみるとそこに映りこんでいたのは自身が苦労して作り上げたアバターの顔ではなくて。



『嘘…!あたし!?』

現実世界の彼女の顔、そのものだった。









確かに、ナーヴギアは顔全体をすっぽり覆っているため、顔をスキャンすることは可能だろう。

それにキャリブレーション、というセットアップステージで行うモノで自分の体をあちこち触ったりしたから、それにより身長なども再現が可能なのだろう。



それにしても、なぜ、茅場はこのような状況を作った?





そんなシエルの疑問も読み取っていたかのように紅ローブは話し始める。


どうやら、茅場の目的は大規模テロでも身代金目的の誘拐事件を起こす気でもないらしい。

しかも話しによれば一切の目的を持たないらしい。


なぜならば。

この状況こそが彼にとっての最終目的だから。

この世界を作り出し、鑑賞するためにナーヴギアを作り上げたから。

そして全ては今、達成したらしい。






『……あたし達は茅場の作り出した箱庭にまんまと入っちゃったって事?』


そんなシエルの独り言が呟かれる短い間をおいて無機質な茅場の声がまたまた響いた。



<……以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の――健闘を祈る>




そう言い残し紅ローブは空の市松模様と同化した。空が元に戻っていく。



どこかでNPCが演奏していたBGMが戻ってくる。


『…言いたいことだけいって自分は傍観者決め込むワケ…!?』




この世界で生き残るためには自分を強化していかなきゃいけない。

この世界で死んだら、現実世界でも死ぬのだから。

MMORPGはプレイヤー間のリソースの奪い合い。
システムから供給される限られた金とアイテムを経験値をより多く獲得したものだけが強くなれる。







(……だったら。)


生き残るためにも。この街を早くでて、次の街にいかなくては。

同じことを考えているプレイヤーにこの周辺のモンスターは狩りつくされてしまうだろう。





今のシエルに他のプレイヤーを庇う余裕は無い。

わずかに後ろめたい気持ちを持ちながらも、この街を出発すべく、人ごみを抜ける。




ようやく、その頃になって周りのプレイヤーは騒ぎ始めた。













泣き叫ぶ声、怒鳴り散らす声を背に一人、シエルは果て無き孤独な戦いへと駆けて行った…


「…それで、今日は迷宮区のマッピングだけでたいした情報も得られなかったから、ここでレアアイテムの情報でも待ち構えよう、ってワケか」



現在シエルがいるのは第五十層のアルゲート。

そこの複雑な路地のとある場所にある故買店だった。





その店の店主エギルとはこの世界で知り合った仲ではあるが、シエルも長いことこの店へ通い詰めているため、かなりお互い打ち解けている。




『…情報得られなかった…っていうのかな…?どうせこのマッピングデータも売っちゃうんだし…仕入れにはなってるんだけどね…』

「じゃあ何で来たんだ」

『暇だから。』



エギルが呆れ顔になりシエルを見ていたとき、ちょうど客がきた。


「いらっしゃい!」

エギル愛想のよい笑顔で客を迎えそのまま接客に入ってしまったのでシエルは情報屋仲間へメッセージを飛ばすことにした。


情報屋を営みながら攻略組に属しているシエルはこうして自身が攻略先で手に入れた情報や、マッピングデータをさまざまな情報屋へ売り、また、その売った先から新たな情報を仕入れるのが主な日課だった。




《第七十四層の新たなマッピングデータあり。》



という簡単なメッセージを飛ばした矢先にエギルのでかい声が響いた。


「よし!決まった!《ダスクリザードの革》二十枚で五百コル!」


高性能な防具の素材となるダスクリザードの革に対してどう考えても安すぎるだろう、と思う反面、歴代の戦士と見紛うほどのエギルの凶顔に一睨みされトレードボタンを押してしまった客を哀れに思いつつウインドウをしまい、入り口の方へ目を向ける。


『…キリトじゃん』



べつに驚くほどの事でも無いのだが何気なく店の入り口付近に立つ見慣れた黒の剣士の名前を口にしてしまう。


シエルの声に気づいたらしいキリトはこちらを見て口を開いた。


「うっす。シエルにエギル。…エギル、相変らず阿漕な商売してるな」


『あ、やっぱキリトもそう思う?』

「よぉ、キリトか。安く仕入れて安く提供するのがウチのモットーなんでね。」

エギルが悪びれる様子もなくうそぶいた。




「『後半は疑わしいもんだなあ。』」





ぴったりシエルとキリトの声が重なった。



お互いは顔を見合わせ噴き出した。


『あっははは!やっぱそうなる!?』

「ハハっ!そりゃぁな。」



シエルとキリトは何回かパーティを組んで活動したことがあるし、情報屋としてシエルが情報を提供し、彼から仕入れたりとそれなりに親密な関係だったりする。

まぁ、2日に一回はお互い顔を合わせているだろう。



「そうだ、エギル。俺も買取頼むよ。あぁ、シエル。お前にとってもいい情報かも知れないぜ?」



ひとしきり笑った後、腑に落ちなさそうな顔をしているエギルへ買い取りの申し出をしたキリトはシエルへも話をふる。


シエルにとってもいい情報


それは、なかなかなレアアイテムの情報かもしれない。







やはり、今日ここに来たのは間違いではなかったのかな、何て思いつつ、2人の会話に交わるべく、黒の剣士と凶顔の商人のところへとシエルは歩み寄った。

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