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____彼らは………、“彼女”が愛し、大切に守ってきた彼らは無事だろうか……

自らの意思では動くことのない四肢を何処までも黒い紅に染まった畳に投げ出し、彼は思う。

____きっと“彼女”は、深い、深い闇の中に居るんだろうなぁ

薄れゆく、それでいて決して途切れることのない曖昧な意識の中で、彼は今後唯一の主である、そして唯一である愛しき存在に想いを馳せ、自身が寄りかかる鉄格子の向こうへ腕を伸ばそうとする。

今この本丸を支配するアレでは“彼女”を殺す事が出来ない。
この本丸にいる、全ての付喪神達の想いが“彼女”を護っている。

きっとアレはそれが目障りだろう。
きっとアレは自分の思い通りにならない付喪神が気に入らないだろう。
しかしどんなにアレがこの場に顕現している付喪神達を無に帰したいと願っても消える事はない。
付喪神達もまた、“彼女”の想いに護られているから。

この本丸の唯一の主…否、雫遙という名の一人の女性の想いがこの本丸を留めているのだから。


____雫遙なら大丈夫だ…。俺が、俺たちが顕現している限り、絶対に……。

腕を伸ばそうとしても、身体が思うように動かない。

____泣いて、…くれるなよ…

愛しいその人が、どうか笑顔に戻れる日が来るようにと。

ただそれだけを願い。

自らもまた、黒き紅に染まった一振りの刀剣は静かに瞼を閉じた。

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