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 とある術師の筆跡

 

 
あれらは一体何なんだ
人の形をしているが人ではない
禍々しくおぞましい
私をこうもしつこく狙う奴らの目的は一体何なのだ

これは私の推測であるが恐らく奴らは例の封を解こうとしているのではないか

私はもう駄目だ
私を殺しにくる
私は必ず殺される
逃げる術などありはしない
呪符も尽きてしまった
奴らは強すぎる
人間が敵う相手なのだろうか
こうしている間にも奴らは

城主よ 責務を全うできず申し訳ございません




文に並べられた真っ赤な文字は、相当焦っていたのか走り書きのようにも見える。文字を一通り目で追った後で周りに視線を移した。噎せ返るような異臭が漂っており、この文章を執筆したであろう人物は最早原型を留めてはいない。
恐らく己に宛てられたであろう文を懐に仕舞い、部屋を後にした。






鬼狩



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