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ぷかりと口から漏れた空気が球になって空に上がっていく。青く揺れる天井の更に上に引き伸ばされた青い屋根。
沖縄の海のなんと美しいことか。空も、浜も、自分を受け入れてくれたこの島はあたたかく優しい場所だ。
目の覚めるような色とりどりの魚たちが冷たい空を泳ぎ、海藻や珊瑚礁の林を後にする。
それなりに泳げるつもりだったが、この空の中では誰よりも遅い。魚たちは言うに及ばず、今自分の手を引く彼もまた。
海に育ち海と生きてきた彼と比べるのはおこがましいが、足手まといになってしまっていないか気になってしまう。南国の花のような彼は気にしないと笑ってみせるのだろうが。
こちらの気持ちの揺れが伝わったのか、綱海が振り返る。前髪を押さえていたゴーグルがないせいか、いつもと様子が違う。定位置にないそれは今、自分の目を守ってくれている。
綱海はにっと笑う。空気がまた小さな球になった。
イルカに会いにいこう、そう言って導かれてきたが、綱海こそイルカのように思う。人懐こくて泳ぎが上手くて、優しい。頭の良さはどうか分からないが。
そんなことを考えているとは知らない綱海は、潜水に慣れていない自分を気遣う素振りを見せる。心配いらないと首を振ってみせた。
頷いて綱海はまた前を向いてイルカに戻る。滑らかな動きで水をかき分ける姿は陸上よりも圧倒的に自由。いつしか自分が海と一体化して綱海を見ているように思えてきて、どこか不思議だ。
綱海はそんなふうに思うことはないのだろうか。海よりも、魚になったように思うのだろうか。今度聞いてみよう。
今はただ、一緒に海の一部になることにして。
イルカの影はどこだろう。


珊瑚の夢


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