1010そのときみんなは

豪炎寺にサインをねだる剣城を見てバラバラの表情を浮かべる雷門の面々。倉間は驚きにあんぐりと口を開ける。
「あの剣城が…」
「信じられませんね」
「マジかー」
速水の隣で浜野がひゅうと口笛のように息を鳴らすと、三国と天城が当然と言いたげに頷く。
「豪炎寺さんと言えば伝説にまでなった人だからな」
「有名人だど」
「円堂監督と合わせて二人がいれば絶対に負けないとまで言われていたし、豪炎寺さんに憧れてFWになる子供が急増したんですよね!」
「よく知ってたな、西園」
わしゃわしゃと車田の褐色の手が信助の頭を少し乱暴に撫でる。小柄な身体がぐらぐらと揺れるのを見て霧野は小さく笑う。神童はと目をやると、顧問の音無と何やら話し合っている。一度に二人も部員が増えれば考えなければならないことがあるのだろう。円堂監督は部の運営には明るくないし、鬼道はコーチをしてくれるが所詮は外部の人間に過ぎない。キャプテンというやつは忙しい。
少し離れたところで円堂二人が並んでいる
「なぁ、過去の俺」
「なんだ、未来の俺」
「過去の俺たちは幸せにサッカーやってるか?」
「もちろん!世界一になったばっかりなんだぜ!」
円堂少年の笑顔が眩しいとでも言うように円堂監督は目を細める。この未来と二人が来た過去は繋がっているのだろうか。成長して大人になって、ここに立つのが円堂だけになるのだろうか。
そうかとだけ答えて円堂監督は剣城と豪炎寺に視線をやる。二人の10番は楽しそうに笑っていて、少しだけ淋しくなった。
俺の10番はどこにいるんだろうな。

2011/10/16 08:39()

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