神と少年(照+豪小ネタ)

2011/11/16


「やあ、豪炎寺」

気さくな呼び掛けが空から降ってくる。見上げて太陽の眩しさに豪炎寺が目を細めると、光を背にした大きな鳥のシルエット。またか、と半ば呆れ混じりの言葉を呟くと、豪炎寺は腕を広げた。

「そんな技の無駄遣いしてどうするんだ」
「無駄じゃないよ。だって僕は神だからね」

豪炎寺の腕の中に飛び込むように、アフロディがおりてくる。白くまばゆい翼が光に溶け、爪先から音も立てずに大地に立った。
並んでみると豪炎寺よりも僅かに背の高いアフロディだが、線の細い外見のせいか、そうは感じない。
ちゃんと少年らしい骨格をしているのだが、陽光にも似た金色の長い髪もそう思わせる要因だろう。

「で、そのカミサマがなんの用なんだ」
「君に会いに来たって言ったらどうする?」
「練習の最中なんだ、あとにしてくれ」
「つれないなぁ」

アフロディが花のかんばせを愉しげにほころばせる。この神さまは冗談も悪戯も大好きなのだ。気まぐれなところはまさに神というべきか。
豪炎寺は肩をすくめる。

「終わったら相手するから」
「約束だよ」

ふふ、と笑ってアフロディが踊るように豪炎寺から離れる。そのまま何食わぬ顔でベンチに並ぶ姿は馴染み過ぎていて、なんだか可笑しい。
いくぞーと声を張り上げる円堂に返事をして豪炎寺は走る。神様のご機嫌を損ねないように頑張らなくては。
ちらりと振り向いた先のアフロディがひらりと手を振った。



―――
来週…来週…!

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