♯見本品は沈黙する(豪炎寺)
2011/11/11
豪炎寺修也は沈黙する。
口をつぐみ言葉を飲み込み、彼から世界への発信は何も無い。どこにも無い。
決して雄弁ではなかった少年の頃に全て使い切ってしまったとでもいうのだろうか。ただの一言も、声にしない。
思いも考えも、どこにも見当たらない。
まるで『豪炎寺修也』はどこかへ消えてなくなってしまったかのように。
あるのはただ彼の足跡だけ。豪炎寺修也がいた、そう主張する記録ばかり。
豪炎寺修也は今どこにいるのか、問われても答えを持つ者はいない。仲間も友人も、彼の今を知らない。
そこにあるのは影だ。豪炎寺修也がいた証拠、たかがそれだけ。
彼自身はどこにもいない。
豪炎寺修也は『物語』になった。実体がなく本体がなく、ただそこに語られる存在になった。
彼の意思も意志もどこにもなく、名前ばかりが先を歩いていく。
豪炎寺修也という虚像が、今の彼だ。
それでも豪炎寺修也は沈黙する。
―――
ということで、『空を飛ぶ5つの方法』さまから
【見本品は沈黙する 5題】
1.代替品は懺悔する
2.欠陥品は嘲笑う
3.完成品は狂い出す
4.故障品は懐かしむ
5.試作品は進化する
をお借りしました。タイトルまで使って6つ書きましたが一応5題です。
一番書きたかったのは剣城と豪炎寺さんの話なのですっきりしました。とりあえず豪炎寺さんの出番まだー?
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