試作品は進化する(天馬)

2011/11/09


松風天馬という少年を一言で表すなら、それは『未熟』だろう。技術も速さも力も、何もかもが足りない。反逆の狼煙の元で戦うにはあまりにも不足。

しかし、それは今はまだ、という冠詞を付けられているということだ。未だ熟すに到らず。

松風天馬はまだスタートラインに立ったばかりだ。誰よりも後ろでようやく踏み出したばかりの、まっさらな少年。
誰よりも学ぶことが多く、誰よりも知らないことが多い。
故に松風天馬は変化し続けている。
その名に掲げる風のように、天を駆ける馬のように、驚くほど速く変化し続けている。
その変化を人は成長と呼ぶのだろう。未熟なものは成長し続けるのだ。

松風天馬の行き着く先は未だ見えない。まっさらだからこそ、その先が分からない。何にもなれるし、何にもならないかもしれない。何にもなれないかもしれない。
その眩しい可能性に、皆焦がれるのだ。かつて自身が持っていたであろう真っ白な未来を持つ松風天馬が羨ましいのだ。

敗北を知らない。諦観も悲嘆も知らない。まっさらで無知であるが故の無邪気な心が、膝をつくことを許さない。立ち止まることを許さない。
松風天馬は進み続ける。

「俺、サッカー大好きなんです!」



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title:空を飛ぶ5つの方法さま

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