欠陥品は嘲笑う(イシド)

2011/11/04


ああ、愉快だ。
統率され調和という美しいハーモニーを奏でるサッカーの、なんと素晴らしいことか。
自らの非力に絶望する子供も、過信する能力に溺れる子供も、みな等しくサッカーをプレイすることが出来る。
彼らの価値は私の手の中で一律に揃えられ、悔恨の涙を捨てさった。勝利という美酒を誰しもが手に出来るのだ、嘆くことがあるだろうか。
私に従えば、彼らの行く末は約束される。それは子供たちも監督たち大人も、みな分かっていることだ。
私はこの世界において神にも等しい。

『サッカーを支配する』

あの時の言葉は今や現実となった。何者にも揺るがすことの出来ない頑然たる事実として、少年たちのサッカーは私の手の中。

「その後は、どうなさるのです」
「後のことはまだ秘密だよ。そのほうが面白いじゃないか」
「……聖帝の仰せのままに」

私の手足として動く黒木も、その他の部下たちも、みな私の思想に賛成している。そして、子供たちの中にも私の思想を支持するものが多くいる。数とは正義だ。ならば、私は正義なのだ。

「世界は私のものだよ」

ああ、なんと愉快なことだろう。



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昨日と同じくタイトルお借りしています。

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