♯完全一致(ロコ+ゴー+豪)
2011/09/04
FFIは日本の優勝で終わり、全てに一応の決着がついた。しかし円堂の祖父が今後どうするかは決まらず、円堂たちは流れでコトアールに招かれることとなった。
アフリカの小国であるコトアールは、緯度の関係か日本よりも気温が高い。加えて慣れない船旅というのも影響してか、イナズマジャパンのメンバーには体調を崩すものも少なくなかった。
「あれ、ゴウエンジは?」
ロココが円堂の後ろを見て首を傾げる。いつだって円堂と一緒にいるはずの豪炎寺がいないのは、なんだか違和感がある。ロココの隣にゴーシュがいるように、円堂と豪炎寺が並んで立っているのは当然のように思っていたからだ。
円堂は丸い頬をかく。
「うーん、それが寝不足らしくてさ、静かなところで寝るっていなくなっちゃったんだよな」
「静かなところって?」
「船の中にはいなかったから多分コトアールのどこかにはいると思うんだけど…」
「分からないワケか」
ゴーシュの言葉に円堂は困ったように笑った。
円堂も豪炎寺を探していたのだが、これがさっぱり分からなかった。あまり遠くへは行っていないだろうが、知らない土地を歩き回るのは少し怖い。困って呆然としたように佇んでいたら、ロココたちに声をかけられたのだ。
「じゃあボクたちも探してみるよ。ちょっとゴウエンジに用もあったからね」
「悪いな」
「オレたちがアイツに会いたいだけだから別にいい」
「ゴーシュったら」
ロココが笑いながらゴーシュの背を押す。じゃあまた後でねと円堂に声をかけて、二人は豪炎寺を探して歩きだした。
「ねえ、ゴウエンジはどこにいると思う?」
「さあな」
「ゴーシュのお気に入りのところにいたりして」
「まさか」
軽口を叩きながらも、周囲に目をやることを忘れない。リューやウインディを見かけたので尋ねてみたが、首を横に振られてしまった。どうやら本当に豪炎寺は行方不明らしい。
ゴーシュのお気に入りの場所にも行ってみたが、やはり姿はない。どこに行ったんだ、と大きな木に寄りかかって溜息をつく。まさかここまで見当たらないとは思ってなかった。ここまで見事に姿を隠せるとはさすが日本人、忍者の末裔ばかりという噂は本当なのかもしれない。
さてどうしたものか、なんとなしに見上げたところでゴーシュは固まった。
「ゴーシュ?」
「……あれ」
ロココもつられて見上げてなんとも言えない声を出した。頭上三メートルほど上の枝からぶらさがる手と足。それを追いかけて視線を上げると見覚えのある髪の色とジャージに行き着く。つまり、豪炎寺は木の上で眠っていたのだ。
「よくあんなところで眠れるよね」
「確かにな。落ちそうにないぞ」
「バランスいいんだなぁ」
二人がぼんやりと頭上の捜し人を眺める。登るのは簡単だが、起こしたせいでバランスを崩されてはたまらない。ロココのゴッドハンドXなら受け止められないこともないだろうが、危険を侵してまで起こす必要もない。だから二人は豪炎寺を見上げるだけなのだが、ロココが口を開いた。
「……あのさ、なんかちょっと見たことない?こういうの」
「……オレも思ってた。なんかサバンナで見た気がする」
二人の間に共通するイメージがある。
荒野の低木の上で寝そべる大型の動物。しなやかな身体の猫科の。
「そっくりだね」
「ああ、そっくりだ」
「ゴウエンジはレオパードだったんだね」
「驚きだ」
二人のどこか間違った方向に向かった会話に突っ込みを入れることもなく、豪炎寺はぐっすりと眠りこけるのだった。
―――
何が言いたいか全く分からない話。レオパードは豹のことです。
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